【沈黙が語る進化】目黒蓮、『ザ・ロイヤルファミリー』で見せた佇まいの変化——妻夫木聡と佐藤浩市の背中から受け取った“役者の覚悟”#目黒蓮
それは誰かが声を張り上げて宣言した変化 ではなかった。拍手や産が先に用意された 成長でもなかった。最終回を目前に控えた TBS日曜劇場ザロイヤルファミリーの 現場で誰よりも静かにしかし確実に 積み重なっていた変化。その中心にいたの がスノーマンメ黒ロレンだったという事実 は政作人の言葉によって初めてはっきりと 輪郭を持った。競馬という一見すると皇室 で男性的な世界を舞台にしながらこの作品 がここまで幅広い層の視聴者の心を掴み 続けた理由。その理由を探っていくと派手 な演出や衝撃的な展開よりも人間の内側で 起きる変化を丁寧に描き切った点に 行きつく。そしてその変化を最も象徴する 存在がメ黒ロレン演じる中条高一だった。 物語の前半メ黒ロレが担っていた役割は あくまで声だった。ナレーションという形 で物語の奥行きと温度を整える存在。 登場人物たちの感情や出来事を一歩引いた 場所から包み込み、視聴者を物語の世界へ と導く役割だ。そこには前に出すぎない 抑制と全体を俯瞰する冷静さが求められる 。その仕事を彼は不足なく極めて誠実に 果たしていた。しかし、後半父、三納構造 、佐藤一から競争ロイヤルファミリーを 託され、高一として物語の当事者へと足を 踏み入れた瞬間から画面の空気は明らかに 変わった。セリフの量が増えたからでも 感情表現が激しくなったからでもない。 ただ立ち姿が変わった。画面に移る背中の 重心が下がり、お幅が変わり、セリフと セリフの間に流れる沈黙が意味を持ち始め た。その変化は演出によって与えられた ものではなく、メグロレン自身の内側で 起きた変化がそのまま画面に滲み出た結果 だった。加藤小一プロデューサーはこの 変化を迷いなく言葉にしている。ザ ロイヤルファミリーの中でメぐロさんは 役者としてすごく成長されたと思ってい ます。この一言は決して社交事例ではない 。ドラマ制作の現場において途中参加と いう立場がどれほど難しいかを知る人間 ほどこの言葉の重みを理解する。すでに 出来上がった現場の空気、罪重なった人間 関係、確立された芝居のリズム。その中に 後から入っていくことは想像以上の プレッシャーを伴う。自分の存在感を 示そうとすれば浮いてしまうし、引き すぎれば埋もれてしまう。その絶妙な バランスを保ちながら物語の真に食い込ん でいくには技術だけでは足りない。必要な のは現場を読む力と自分を変える覚悟だ。 メ黒ロレンはそのどちらも持っていた。彼 は小高に主張することもなければ存在感を 孤持することもなかった。ただ徹底的に 見ることを選んだ。共演者の芝居を見、 スタッフの動きを見、現場の空気の流れを 感じ取り、そこに自分をどう置くべきかを 静かに探り続けた。その姿勢が結果として 彼自身を変えていった。加藤 プロデューサーが指摘する最大の要因はつ と佐藤一という2人の存在だ。芝居の技術 そのものはもちろんだが、それ以上に現場 でどう立つのか、物語全体をどうしようの か、スタッフや共演者とどう向き合うのか 、そうした役者としてのあり方を2人は 背中で示していた。ネ黒ロレンはその背中 を見続けた。言葉で教えられたわけでは ない。ただ日々の現場で繰り返される 振る舞いの積み重ねが彼の中に静かに 染み込んでいった。お芝居の仕方、現場で の佇まい、スタッフ、キャストへの接し方 とすごく変わったと思いました。この 変わったという言葉の中には単なる技術 向上以上の意味が含まれている。芝居が うくなった表情の引き出しが増えたという レベルの話ではない。役者として現場に 立つ覚悟が変わったという評価だ。現場を 自分のための場所としてではなく作品の ための場所として捉える視点。その視点を 持った時役者の佇ままいは自然と変わる。 自分がどう見えるかよりも作品がどう 立ち上がるかを優先する。その姿勢が高一 という役に圧倒的な説得力を与えていった 。高一という人物は決して分かりやすい ヒーローではない。若き光継者という立場 でありながら父の影に縛られ地の秘密を 抱えわされた夢の重さに押しつされそうに なりながらそれでも前に進まなければなら ない男だ。記念という巨大な目標は彼に とって希望であると同時に逃げ場のない 銃圧でもある。その複雑な内面を目黒レン は声を荒げることなく派手な感情表現に 頼ることなく描き出した。むしろ彼が選ん だのは沈黙と視線だった。言葉を発しない 時間が揺れる一瞬立ち止まる足取り。その 1つ1つが高一の葛藤を有便に語っていた 。特質すべきは感情のピークを安易に見せ なかった点だ。涙を流す場面、怒りを爆発 させる場面、そうした分かりやすい感情 表現に頼らず、彼は感情を内側に貯め続け た。その結果、ここぞという瞬間に放た れる自然や言葉が強烈な重みを持った。 視聴者は高一の感情を理解させられるので はなく感じ取ることになる。この違いは 大きい。説明される感情は記憶に残り にくいが感じ取った感情は長く心に残る。 ザロイヤルファミリーが多くの視聴者に 深い予の1つはこの演技の選択にあった。 そして加藤プロデューサーは最後に こうめくくっている。きちんとやって もらえるという確信のもお願いしているん ですけど、その予想を超えていただいて すごく嬉しく思っています。この予想を 超えたという評価は俳優にとって何よりの 勲章だ。期待通りに答えることはプロとし て当然の仕事だ。しかし期待を超えること は簡単ではない。しかもそれを派手な結果 や話題性ではなく現場の空気そのものを 変える形で成し遂げたという点に 目黒ロレンの成長の本質がある。ザ ロイヤルファミリーが描いたのは有馬記念 という競馬会の頂点だけではない。夢を 継ぐことの重さ、愛されることの意味人は どんな環境と出会い、どんな背中を見る ことでどれほど変わることができるのかと いう問いだった。その問に対してメ黒ロレ は高一としてそして1人の俳優として確か な答えを提示した。人は怖かに変わる必要 はない。静かに誠実に目の前の現場と 向き合い続けることで確実に変わることが できる。そのことを彼は自分自身の背中で 証明して見せた。最終回レースの結果以上 に私たちが目にすることになるのはこの 物語の中で変わった男の背中だろう。 大きく語らず感情をこじせずそれでも確か に強くなった背中。その背中は役を演じ 切った俳優のものでもあり1つの現場を 通して成長した人間のものでもある。 ネグロレンという俳優がこの作品で到達し た地点は決してゴールではない。しかし それは間違いなく次のステージへ進むため の確かな足場だ。静かな背中が全てを語っ ていた。その事実は最終回が終わった後も 長く視聴者の心に残り続けるはずだ。
【沈黙が語る進化】目黒蓮、『ザ・ロイヤルファミリー』で見せた佇まいの変化——妻夫木聡と佐藤浩市の背中から受け取った“役者の覚悟”
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