【朗読 右門捕物帖】佐々木味津三著 「第三十七、血の降るへや 字幕版」  ナレーター七味春五郎  発行元丸竹書房

佐々木 三町うん鳥物 町第37話 血のフルア 1その第37番手柄です2月の末でした 朝ごにぬくみが増して江戸2月の声を聞く ともう春が近い初馬に日梅に天人祭り2月 の行事といえばまずこの4つです松馬は 言うまでもなく稲祭りひ一はひの梅みは 梅み天人祭りは25日の観光祭湯島亀井戸 天人と名のつつくほどのところは無論の ことだが親城代城でなくとも天人様に縁の あるところはこの25日それぞれ思いの 天人祭りをするのが例でしたつこ屋がそう です初動所がそうですそれから私およそ 文字と筆に関わりのあるところはそれぞれ 観光の特を称えその脳質にあかろうという 記念から筆子 党残らずを招いて盛大なところは盛大に さびれているところはさびれたなりに それぞれ思いの主考をこらしながら ともかくにもこの日1日を楽しむのがその 習らわしでした どこ言うんだい理由のねえことを言うん じゃねえんですよ無質だから先生も師匠も お師匠もねえが旦那はそうはいかねえ物が お互いをすんだからねそれを言うんですよ それをやっていんの です下がっての夕暮れのしっぽり時き電力 でん名人むっつり2人のこれは初馬で あろうと25日であろうと年中行事である から国王線度と電力のやっているのに 不思議はないがやられている名人話と見る と明かりもない部屋の真ん中に長々となっ て忍び寄る夕暮れを楽しんでいるかのよう でしたつまりそれが良くないというのです 昨日や今日のお約束じゃねもう10日も前 から度々そう言ってきているんですよ牛米 の森や先生下屋の高島先生の字を習ったか 路の字を習ったか知らねえが両方から2度 も3度もお使いをいいているんだ去年も来 なかった昨年も見えなかった古い昔の筆子 ほど懐かしい今度の天人祭りには是非来い とわざわざなお使いをくだらすったんじゃ ねえんですかにならねえようでもあるなら 確別そうしてゴロゴロしている暇がありゃ 両方へ2弁行ってこられるんですよじ列 ちゃありゃしねえ ひぐれを見ていたら何が言っておしれえんですいい旦那爆地に行ってらっしゃい女ぐいに行ってらっしゃいと言うんじゃねえんですよ親はこの始まり師匠はご少の始まりご機嫌いに行きゃ先生方がよぼよぼの芝を伸ばして喜びなさるから言って辞を使っていらっしゃいと言うんだのやけどちゃりゃねえ [音楽] そんな顔をして生事と睨めっこをしてい たら何が面白いんですかよ生事には3は あるが3は3でも女老屋の講子とは違い ますぜそれを読んだそれをじレじれする 旦那だななんとか言いなさいよこりとその 時何か玄関先へ止まったらしい気配でした どうやらからしいのですと思われると一緒 に呼ぶ声が聞こえました お待ち様お迎えでござんすそれご覧なさい だから言わねえこっちゃねえんだ牛米か 下屋かどっちかの先生が待ちかねてお迎え のかい起こしたんですよ早いところを押し たくなせまし何を考えているんです首だぞ ひねるところがねえんですよしびれを 切らしてどっちかの先生がわざわざお迎え をよしたんだ行くなら行く よすならよすとハキハき決めたらいいじゃねえですかよあのお持ちか金ねからお早く願います咳立てるようにまた呼んだ表の声を聞きながら不真層に首をかしげて仕切りと鼻をくんくん鳴らしたが不いに人が驚くべきことを言って立ち上がりました [音楽] [音楽] 医者の顔だな確かに戦薬の匂いだ どこかで何かが何かになったかもしれねえ バチクりしている暇があったら実手でも 磨いて出かける下具でもしろいうるせえ やつで覗いてみるとまさしくその言葉の 通り医者のか護ですそれもよほど繁盛して いる医者と見えて立派な常用か護でした しかし著はないそれがまず不審の種でした 明りも持たずにいきなり玄関先へかを添え て仕切りと咳立てているところを見ると給 も急養に違いないがそれよりも一目に かかることを恐れている秘密のようにそう 言いないのです 人違いではあるまいなござせぬ旦那様をお 迎えに来たんですどうぞお早く願います誰 をあげて促したかの中をひょいとみると 何か書いた髪切れが目につきました くれぐれもこないに願い上げ僧老ろという 字が見えるのですよしわかりましたついて 来いどこの誰が何のようで呼びに来たのか ところも聞かず何も聞かず行先1つ聞こう としないでそっとタレを下ろすとさっさと 急がせました聞きたくもなりたくも電力 などが愚を差し挟む暇もないほどかがまた 早いのです 2海賊から江戸橋を渡って伊勢町を 突き当たると大殿町そこから左へ曲がると もう日内の始まっている軒棚の通りでした その突き当たりが今川橋渡って土手沿いに 左へ曲がったかと思うと間もなくかはその 主町の角の一見へ2人と行きずを下ろし ました案の上この辺り評判の町岡山3案の 前なのですお越しだなこちらへこちらへ そこでは人の目に立つ失礼者がこちらから ご案内待ち切っていたと見えて慌たらしい 声と一緒にその3案がうろうろしながら 取り乱した顔を見せると下ろしたかを 内玄関の方へ回させてそのまま人の目に かかるのを恐れるようにあたふと生じ上げ ましたわざわざお呼び立ていたしまして何 とも申し訳ござりませぬいえ何実はその何 でござります手前いたすが本位でござり ますがこれ何をうろうろしておるのじゃ来 てはならぬゆけ行け覗くでない言葉もしろ にうろえていのです ず家人のものも遠ざけてきとと発砲へ目を 配りながら案内する間も怯え導いていった ところは2階のった極りない部屋でした 高い天井見事な柱ふ何から何までが入念な 品を選んだ座敷ですその部屋のと際へごわ 座ると恐ろしいものをでも知らせるように 3案があうざめた顔を振り向けながら黙っ て床の間を指びさしました血だ大きなと 一ぱのようにかかっている 可能へポタポタとも血が下たりかかってい のです なるほどわざわざおびはこれでござり まするな一体これはどうしたのでござる どうもこうもござりませぬオ川三今年57 でござりまするが生まれてこの方こんな 気味悪い不思議に出会うたことがござり ませぬ故えとうとうと思い余ってご内密光 にお調べ願おうとお越し願ったのでござい ますまあこれをご覧くださりませ天井から も壁からもただの人ずく垂れた後はござり ませぬとこにもただの一滴垂れ落ちては おりませぬそれだのにどこから降ってくる のかこの部屋のこのとこの前軸物をかける と知らぬ間にこの通り血が降るのでござり ます知らぬ間に降るなるほどそうでござる かでは今までにも度々こんなことがあった のでござりまするなはったんではござり ませぬこれをまずご覧くださりませそう いう馬もサは辺りに気を配りながら怖わ と棚を開けると気味悪そうに服物を 取り出して名人の前に繰り広げました数は 6本その六本のどれにもこれにも同じよう にポタポタと血が下たりかかっているの ですなるほど血と君の悪い話でござり まするな血の色に古い新しいがあるよう じゃがいつ頃から一体こんなことが始まっ たのでござる 数の通りちょうど6日前からでございます そちらの右端が1番先の服でござりまする が前の番まで何の変わりもござりません でしたのに朝ちょっとこの部屋に用が ござりました故え何の気なしに上がって まいりましてひょいっと床を見ましたら その通り血が降っていたのでございます 医者のことでござります故えから血には 驚かぬ方でござりまするがそれにしても 場所がござりますその上にこの通りかかっ ている品が軸物でござります故え見つけた 時は魚点いたしまして腰を抜かさんばかり に驚きましたが何かの間違いだろう 間違いでくのずらだろうぐらいに思いましてそちらの 2本 目のと駆け替えてきましたところ朝になると血が降っているのでござりますければ降る帰れば降るあさご朝と続きました [音楽] すっかりおじけ立ちましてすぐにも誰かに 知らせようと思いましたがうっかり人に 話せば立ちまち発砲へ噂が広がるのは知れ きったことでござりますのでなやれ幽霊 屋敷じゃやれ血が降るそうじゃとつまらぬ 評判でも立ちましてせっかくあれまでにし た前がさびれるようなことになってはと 家人にも知らさずに隠しておりましたが 今日という今日はと々我慢ができなくなっ たのでござりますいつもは朝降っておるの に今さっきひぐれ方に何気なく上がって まいりましてひょいと見たらこの通り生々 としたのが降っておりましたゆえ生きた 心持ちもなくあのかを大急ぎであなた様の ところへ問わしたのでござりますこんな事 はまたとない胃の地猫の地人の地何の地で あるにしろ帰れば帰る一方から知らぬ間に 降っているとはいかにも不思議です念の ために名人は軸の上天井左右の塗り壁軸の 下残るくなく手色を差し付けて見調べまし たしかし軸の他には散らしいものの秘末 一滴見えないのです さあ行けねえ左ジゴ郎の掘った龍はよなよ な水を吹いたという話だが可能の方にだっ て3人や5人左ジゴ郎がいねえとも限ら ねえんだひょっとするとこいつが血を吹く 絵というやつにちげえねえですええちょい 違いますかい黙ってろうるさいやつだ らず口を叩く暇があったらこっちへ火を 出しな早速に横から始めかけた電力を しっかり飛ばして自身も手食をかざし ながら廊下へ出ると部屋の位置出窓 内窓取りの具合四方発砲へ目を光らせまし た2階はこの部屋と次の間を入れて二間 ですこの双間の前にずっと広い廊下があっ て廊下の外はあまり広くない庭でしたその 庭を挟んで脈部屋治療部屋薬部屋などが別 になっているらしく明りを出してすかして みるとはあるが高いのはない日差しもある が外からこの部屋へ侵入してくる足場は1 つもないのです当然のように名人の静かな 問がおりました はご子団は今上がってきたのが1箇所霧り でござります夜はどなたが2階にお休みで ござるかどうしてどうして見られる通り これは自慢の客までござりますのでな出る どころか家人のものも滅たにあげませぬ この下が手前ども家族の今にネマ雇い人 どもは向こうの別胸でござりますその雇い 人はいくりでござるまず大脈が1人それ から所性が2人が1人6尺が2人それに 女中が2人 うちうちのご家族は手前にかなりそれから 娘それからいやいやそれだけじゃ今年に なる娘が1人きれでござります地とそのお 3人か間違いござりませぬ天にも地にも娘 が1人親子3人きりでござります別からの 廊下は抜けでござるかそれとも何か仕切り がござるか終わりでござります何を言うに も表の方へは朝から晩まで色々の病院が 出入りしますのでな奥と表とごっちゃに なって不潔になるぬようにと昼も仕切り戸 でしって夜は確別に厳しく雇い人どもへ 申し渡してあります故えこの2階は愚か奥 へも滅多には参いられませぬ奥へのデイリ さえも厳しく止めてあるというのです しかし外からこの2階へ入りうべき足場は なおさらどこにもないのでしたとしたら 電力の優雅ごとくえ自らが血を吹けば知ら ぬこと出ない限り星はまず家の中にと睨む のが足ですしがねえあまりぞっとしねえ手 だがやっつけてみようぜねえおい 兄掘り向いた顔へぽつりとふに不思議なが 扉何か踏みを受かり申して投げしへこの絵 をみんな裏返しにしてかけな裏返し かけりゃいいんだ早く し沼の一軸も裏返しにかけさせてずらり7 枚並んだのを見ながら静かに3眼に命じ ました ざる口を差し挟んではいけませぬぞ雇い人 からが良い家のもの残らずを順々にここへ 呼んでまいらっしゃい 3街けているところへことりごとりと下 から足音が近づいて若い男の顔がまず ぽっかりと現れました初生かさよでござい ますなおはヘロと申します何かもっと聞く だろうと思ったのにそれっきりですよし 行け機元層に帰って行ったのと入れ違いに また若い顔が現れましたお前も諸性だな さよでござります親は男親が好きか母親が 好きかほよしよしもう帰れ不思議そうに首 をかしげて降りて行った後からことと足音 が近づきました軽いその足音を聞いた ばかりでげもしないのですよしわかった下 なんだな今度もいい帰れ入れ違いに重い 足音が近づくと大脈らしい男の顔が現れ ましたちらりとその顔を見たばかりです よしお前にも用はない早く行けあとは2人 ずつ来るよう言いつけろこれも軽元層に 帰った後から6尺たちが2人へ現れました ふんといったきり聞きもしないのです 入れ違いに上がってきたのは2人の女中 でしたお前好きだろ電何か聞いてみなえお 2人ともなかなかごき療よしだ物のはずみ でどんなことにならねえとも限らねえ聞き たいことがあったら尋ねてみろと言ってる んだよ恥ずかしいよガラかいよしよし ご苦労様でしたもうようありませんあとは お家のお2人だすぐに来るよ申してもらい ましょう同じように首をかしげながら降り て行ったのと入れ違いに物柔らかな気連れ の音が近づきました西女と娘の2人です母 は50くらい当たり前な顔だがしかし娘は 打って変わって寒くなるような美人でした 手指爪どこからどこまでがほっそりとして いて青く白く血のない女ではないかと 思えるほどに心身と透き通っているのです その上に震えが見える美しい顔が足がかか に波を打っていのです 名前はぎと申します [音楽] ほほ千ハぎさんと言いますか今にも散りそうな名な名でござりまするな上から下へ右から左への顔と二親の顔とじろりじろりと見比べていたが何を見てとったかと上がるとさっさと帰り自宅を始めました [音楽] [音楽] 増作はござりますまなんとか目がつき ましょう誰にも一切多言せぬようお気を つけなさいますよいいですかいお忘れなす ちゃいけませんぞ特に念しておくと早い ものですすっと出ていったかと思うと しかし突然電力を驚かして命じましたこの 町内か近くの町内におの師匠はねえか洗っ てきなお張りおの師匠というとおちくちの あのお張りですかい決まったら釣り針りや いじっ張りに師匠があるかいどこの町内で も娘があるからにゃ終わりの師匠も1人や 2人あるはずだガチャガチャしねえで こっそりき出してきな何をぼんやりひねっ ているんだよおひねり団子じゃあるめし マグまぐしていりゃ用が吹けるじゃねえか おん人を小にしなさんなひねりたくて ひねっているんじゃねえですよ裏を返して 軸物をかけてみたかと思や1人1人 呼び上げてろでもねえことを聞いて町内に お張りの師匠がおったら何がどうしたと 言うんですひねって悪けりゃもっと人の あることをいやいいんですよ仕様のねえ男 だなこれ式のことが分からなくてどうする がいいくれぐレもごな密光にと三が拝む ように頼んでおるじゃねえかだからこそ血 の一見を知らすまいと思ってわざわざ 裏返しにかけさせたんだ裏は返しておいて もあの家のものの中にいたずらをしたやが おったら軸を見ただけでも瓶と胸を刺さ れるにちげえねんだ胸を刺されりゃ自然と 顔の色も変わろうしも震えるだろうしそれ だけ分かってりゃ何も首ぞひねるが物は ねえじゃねえかよ他のものはみんなけそう な顔をして降りていったがあの娘だけが 震えていたんだばかりじゃねえお前さんは あの娘の顔と親たちの顔を比べてみたかい いえ自慢じゃねえかわしはそんな無駄をし ねえんですよ別品は別品で結構目の保用に なるんだからねしわくちゃな親の顔なんぞ と比べてみなくともちゃんと堪能できるん ですよ呆きれたやつだだから電力で2の子 酒にもりゃしねえなんぞと子供にまでも 馬鹿にされるんだよトが高を産んだという 話は聞くが親父の3案はあの通りおでこの 加い頭お袋さんは四角い顔の寸詰まり あんな似たところのねえ親子なんてものは ありゃしねえ不審はそれだ娘のことを探る のは娘同士その [音楽] 娘っこの寄り集まるところとやっ取り早いところが張りの師匠さんじゃねえか 3人5 人と内近所の娘がよりゃっちの娘の話こっちの娘の噂のあの不思議なのか噂を聞いているだろうし口も叩き合っ違えねんだそれを探ると言うんだよそれをな他のところじゃねえが島を見つけに行くんだ [音楽] 分かったら遺んで行ってきなよねそういう 風にあって話してくれりゃ足だってすねる ところはねえんですよベラボどうするか 湧いたろ本当においドキなドキな邪魔じゃ ね道を開けな別に誰も道を塞いでいるわけ でもないのに一電力がいみ立ったとなると 凄まじいのですヒラヒラと袖を振っていっ たかと思う間もなく姿が消えました 4春近い江戸の酔いはもう風までが ぬくやかでした待ち浴びているところへと 飛んで帰ると目を丸めているのです 見つからねえのかいあいたが娘じゃねえ ですか足ともあろうものが娘っこの層を 見逃してなるもんですかい2ところあるん ですよそいつは合儀だこの近所か近所も 近所も裏通りの路地に1件向こうの横町に 1件裏通りは5人向こう横町の方は8人 おせこ着物でも塗っていると見えてね両方 とも明りをカンカンともして一生懸命と おちくちをやっているんですよいい娘の 揃っている方がご注文ならちっと遠いが 無効だ行きますかいいいえ娘が見たくて 行くんじゃねえ近い方がいいや釣らぎな 手柄顔に連れて行ったその裏通りへ曲がっ てみるとなるほど路ジオ奥へ入った一軒の 表子にそれらしい娘たちの影が見えました 許せよスカツカと入っていくと安の周り から一斉に振り向いた5人のおり子たちを じっと見比べていたが顎で示した娘が 不思議なのですあの3 人目の不気量な娘だあそこの角まで呼んできな [音楽] [音楽] ののなんですか?冗談じゃねえ襟りニってあんなおデでデこ娘に白の矢を立てなくてもいいでしょう他に見晴しのいいのが 2 人もおるじゃねえですかよ大きな声を出すな聞こえるじゃねえか料のいい娘の噂に気料の悪い娘ほど知っているものなんだ勘いやつだ [音楽] [音楽] ご苦労だちょっと来てくれと言って 大なしく連れてきないちいちと無駄のない でしたニヤニヤ笑って電力が連れてきたの を見迎えると穏やかに訪ねましたお仕事中 をお気の様でしたが隠しちゃはいけません ぜあんたの町内はどこでござんす 怖いことはねちょっと聞きたいことがあっ てお呼び申したんですよこの近くの腸内 ならお尻でしょうがあそこの岡先生の ところのお嬢さんのことを何かご存知じゃ ござませんかいいかしそうにう門の顔を 見眺めながらおどおと言いなっていたが これを見ろというように電力が横から ピカピカと振った実手に気がついたと見え て震え意外なことを言ったのです も他のことは知りませぬが何でもお室をお まんまを入れる大きなお室を人にも見せず に毎日毎日宝物のようにして大変大事にし ているという噂でござります お中には何が入っているんです知りませぬ 毎晩夜ふけになるとその大切に抱えてお助 さんを1人お共に連れてこっそりどこかへ 出ていくとかいう噂でござりますどこへ 行くんですそそれも知りませぬ他には何も 存じませんゆえもうもうご勘弁ください まししいい捨てると娘は逃げるように かけ去りました聞き捨てならない噂でした 名人の目が底深く微笑してキラりと光り ましたベラボくせと睨んだらあの青娘安城 これだ夜ふけにはまだ一時近くはあろう おいらがおじきじきに立ちん坊しちゃ もったいねえやわ人形でも見つけようぜ ついていきなよズんズン通りを主町へ出て 土手に沿いながら歩いていると辻浦辻浦と いう眩しい声と一緒に土手の切れ目から ぼっかり白い明りが浮き上がりました子供 だなちっとかわいそうだが張番させるにゃ 帰っていいかもしれねえ大表代表目も早い が思いつくのも早いのです手をあげて 差し招きながら呼び寄せるとチャリチリと 小銭をたっぷり握らせて言いつけました 辻浦はみんなおじさんが買ってやるからな その代わりお前の体を貸しておくれもう 少しいったらあそこのお医者のうちの内 玄関か裏の方から女が2人こっそりと出て くるからな出たらすぐに知らせておくれ 見張りをするのかいそうよなかなか分かり がいいだから向こうに見つからねえように しなくちゃいけねえぜおじさんはほら見ろ そこの川の中に小舟があるだろうあの中に 寝ているからバンジ抜がらねえようにやる んだぜおい来た分かったよ出てきたら会い ずにあのうちの前の土手で貯賃を振るから ねすぐに来ておくれよ 小ざのように飛んでいったのを見送り ながらつなぎ捨ての小ぶの中へ降りていく と身を忍ばせて合図を待ち受けましたこと 心に至っては電力ももう成りどの騒ぎでは ないのです船へ入るから実手にうねりを 打たせて今か今かと目をさにしながら 待ち構えました伸び上がり伸び上がり 待ち詫びているうちに市半時半時と世が 沈んで次第に心々と吹け渡りました家の 明りもまた1件一件と消えていってふわり ふわりと襟り首を撫でる夜風の君悪さ ばったりと人影もなくなりましたもう そろそろ合図があってもいい頃ですと思っ た切なチラチラと激しくど手の向こうで 明りが動きました それ来たぞさあ来いお羊娘滑って川に おっこちますなよパッとコウモのように 飛び出した電力の跡からひたひと名人も 足音と殺して追いかけましたどっちだ あそこあそこあの陛下堂を左へ曲がって いく2人がそうですよ手柄顔に辻浦が 指差した闇の向こうを見つかすとなるほど 2つの黒い影が急いているのです2人共に すっぽりとおこそ金で表を隠していたが前 を行く痩せ方のすらりとした影こそは まさしくあの娘の自はぎでしたしかも噂の 通り大きな抱えているのです会見を持って いるな会見あの後ろを守っていく助の格好 を見ろ左手で胸のところをしっかり握って いる安牌は確かに会見だどうやらこいつは 思いの他の大物かもしれねえぜ 名人の紫にひらめたのは ちあの軸物に 降るかしい生地のことでした娘の抱えて いる不思議なお室は血を入れるおかもしれ ないのです後ろの女中の会見はその血を 取りに行く会見かもしれないのです を盗みに行く娘犬の地下人の地下左右を すかしつ見つつ人一目を恐れるように ひたひたと急いでいく様子はともかくも 何か大きな秘密を持っているに違いないの です大事な土タ場だ声を出したら締め殺す ぞどどど大丈夫なんだか変な心持ちになり やがって出したくともで出ねえんですよ 震え声にもう縮み上がっている電力を従え ながら注意深く影を隠して2人の跡をつけ ました 5一曲がり2曲がり [音楽] 身曲がりと曲がっ忍びに忍びながら2 つの影は通り国長を真っすぐに柳原へぐはて寂しいその柳原手に沿っぱ橋です [音楽] 質を抱えた影を先に23弱離れて女中の影 がこれを守りながら2人の女はその泉橋 からくるりと左へ折れました常時のように 2人はに辺りへ注意を配り始めましたが 目指した場所が近づいた証拠なのですと 思う間もなく2つの影はそこの松永町の 横通りを入った寺の携帯へヒラヒラと 座れるように駆け込みましたちくしょ ほと2箱を暴いて新の血を絞りに来たに ちげえねえですぜ黙ってろい喋らねえと いう約束じゃねえか聞こえて逃げたらどう するんだいとと思っていてんだがあんまり 君の悪い真似ばかりしやがるんで音が出る んですよ埋めたばかりの死人なら血の1号 や2号絞り取れねってはずはねえんだ きっと2を狙いに来たんですぜだが2人の 入っていったところは意外なことにも本道 なのですしかもここへ来ればもう大丈夫と 言わぬばかりに足音さえも高めて守備弾の 横からどんどん奥へ抜けると買って知った もののようにガラガラと底の網戸を開け ながら遺道の中へ入ってぴたりとまた塔を 締め切りました中には薄ぼやりとお明が2 つ灯っているのです しかしうっかり覗いたらこちらの顔も 見つけられる危険があるのです覗きたいの をこらえて2人はそこへうくまりながら じっと息を殺して聞き耳を立てました同時 のように娘の血ハぎの細く生めかしい 引き入れられそうな声が耳を接しました お待ちかねでしたでしょう様もういいです よ早く行っていらっしゃいいいえ大丈夫誰 も見ちゃいないから怖いことなんぞあり ませんよえそうそうああ可愛らしい私に 挨拶していらっしゃるの長袖びしちゃいけ ませんよ早く帰っていらっしゃいね声と 一緒にするとかな気ずれのような音があり ましたう門主は思わず息を飲みました 覗き体の懸命にこらえてじっと耳を済まし ながら中の気配を伺いましたと思う間も なく肩こことと遺牌デモが動くような物事 が上がりました同時に中とまさしくネズミ の泣きがきでもするような異様な声が 伝わりました後から血ハぎの透き通るよう な声がまた耳を差しました ほ柄お手柄先様見事ですよもういい でしょう早くいらっしゃい来なければかり ますよせナです名人主は引き入れられる ようなその恋に釣られて我知知らずに さっと身を起こしましたしかし同時にウ門 も電力も思わずぞっと身の毛がよ立ちまし た蛇です蛇なのです大きなネズミを あんぐりと加えての間長いカ首をぬっと もたげながら覗いていのです今し方中と 泣きもがいたのは実にその鎌首が加えて いるネズミなのでした生めかしい声で今 千葉が話をした相手もその蛇なのでした お室の中の正体もまたその長なのでした蛇 を買う娘蛇と話をする娘意外な秘密を隠し ていた機快な室は意外な謎を産んだのです と見る間に長ムシはアングりとネズミを 加えたままでぬるぬると血はぎの足元へ は寄ると何かの化心のようにカ首をげ ながら黒びりしている長い体をその足へ 仕切りとすり付けていたがそのまますると お室の中へ吐い込みました 電力は元寄りのことさすがの名人も全身 泡粒ぶだってそこへ立ち着くんだままでし たそれにしてもあの前降った血の出所が 不思議です椅子に隠れた今の蛇がふらせる とも思えないのですしかしその時釘付けに なったように立ちんでいる2人を驚かして 突然栗の向こうからバタバタと人の足音が 近づきました2人ははって守備団の横へ身 を隠すと怪しみながら近づいた影を見かし ました年は23し寺のものではない町人で もない侍でもない何者か目上の分からぬ 不思議な若い男なのです何を生き通って いいのかふんに目を光らしてあ々しく 遺配道の中へ飛び込んでいくとヤニに 千はぎを睨みつけながら浴びせました き分けのないお方でござりまするなあれ ほど言ったのにまだおやめなさらないので ござりますかこんなものを買えばこんな君 の悪いものを買ったら何が面白いので ござりますどこが可愛いのでござります なじるように言ったのしかし千葉は一言も 答えないで悲しげに微償しながら取り合う のも患らわしそうに目をそらしました何か 2人の間に秘密の繋がりがあるにそう言い ないのです もうためらっている場合ではないひらりと脇出たように姿を見せると黙って近づいて黙って名人は自ぎの前に立ちふがりましたあなたはあなた様は [音楽] [音楽] うまでござる先ほどはオタクの2 階でお騒がせいたしましたな 冬を打たれて千葉は真っさに色を変えると 何よりもというようにうろえながら足元の お室に慌てて蓋を着せましたしかしもう 遅いのです名人のいるような声と目が 不気味に笑ってその胸を貫きました四重の 様子を残らず見せていただきました とした隠し男お可愛い狩りでございまするな [音楽] ではもうではもう何もかも 聞きもいたしましたし詳しく拝見もいたしました故え心が塩時きとお邪魔に出てきたんでござんす虫も殺さぬようなおしい顔をしておいでなつってあんまり人騒がせをするもんじゃござん [音楽] [音楽] 今聞きゃこっちのこの若いお方と何か違う でござんすが何を言ったいどうしたと言す あれほど言ったのにまだやめないかと大変 こちらがおしりのようでしたがこの方は 一体どういうかかり合いのお方なんですえ お嬢様じれねむっつりのう門と言われる足 が耳に入れてこの通りニョろニョろときた んですいつの中の対象に比べりゃカ首も 短けえし体も短けえが目はもっと光って いるんだ手間を取らせねえ方がおためです ぜえお嬢さんはきゃき言ったらどんなもの でござんす畳みかけた言葉にはわまわらと 身を振わせていたが突然表を伏せると しみるような声をあげてすり泣き出しまし た聞いていてうんということに気がついた と見えるのです横から不審な若い男が割っ て入るとこれ幸いというように口を挟み ました 私は申しましょうあなた様なら大事ござり ますまいその代わりくれぐれもご内密に 頼みますぞその何もかもご存知か知って いる段ではござりませぬその女は千葉は何 を隠しましょうこの私の妻たるべき女で ござりますおい漬け子そうでございます どういうお家で主町の父の方へ参られまし たか知りませぬが手前はあの岡のセレで ございます血を分け合った1粒種の サンド之助と申すものでござります何ご則 なるほどそうかで先ほど家族調べをしたり 他に怖ないこの娘1人っきりじゃと しろドロに行った様子が血とおかしいと 睨んでおったがやっぱり隠し後がありまし たな血を開けた実のセレが家を出て飯漬け の女が娘同様家におるとはなん ぞがござろうそれが聞きたい どうしてまたそなたは家を出ておんのじゃ夜遊びでもじて感動でもされましたか?そうもござりませぬそれもこれもみんな元はと言えばハぎのこの君の悪い病気故でござります [音楽] [音楽] こうなりますればもう千葉の素条も申し ましょうがこの女は私の父三々が女性の うちから可愛がられて今のような異業を 授けていただいた大切な先生のお師匠様の 忘れなのでござります年を取ってからこの 血ハぎを設けてまだ成人もせのうちにご なさいました故え父の三が子供同様にして 引き取り私とも飯付けの約束を 取りか交わし4年前まで1つに育ってきた のでござりまするが何の因果か千葉目が 小さいうからこんなものをこんな君の悪い 長ムシを可いがって昼も夜もそばを離さ ないのでござり それそなたが嫌って家で押したと 申しにもそうなんでござります1匹や2匹 ではござりませぬ多いい時は7匹も8匹も 勝ってばとえ 特か手に入れて挙句の果てには夜1つ布団 へ抱いて寝るような始末でござりました 言え他の生き物とは違うのじゃ人の嫌う 長ムシなのじゃいい加減におやめなされと 口の酸っぱくなるほどいめたのでござり まするがどうあっても聞き入れないので ござります父から叱ってもらいましょうと 父に申したところその父がまた一向に私の 味方となってくれないのでござりますたけ を申すな誰のお嬢様と思っておるのじゃ わしにとっては掛けがえのない人の娘じゃ 先生の娘じゃお師匠様の忘れがじゃわしが 1人前の医者になれたのもみんな千葉殿の お父様の玉物じゃ本御人の娘に意見が できるかバカ物他の男を抱いて寝るとでも 言うなら確別長虫を可いがるくらい我慢が できなくてどうなるのじゃお前が嫌がら たって添い遂げてもらわなくともいい他 から容姿を迎えて千葉に後目を継がせる から気に入らずはどこへでも出ていけと実 のこの私を帰ってりつける始末なので ござります悔しいのをこらえて3度5°と 千葉にも頼み父にも頼みましたが一向に私 の言うことなど取り上げてくれませぬよえ ママよおんじゃ義り者先生の娘じゃと他人 の子をわがままいっぱいに育って実の子を 袖にするような親なら勝手にしとばかり家 を飛び出しこっそりと長崎へ下って今日が 日までの4年死になって異業を励みどうに かこうにか1人前の医者となってつい10 日ほど前にこっそりまた江戸に帰ってまっ たのでござります帰ってきてそれとなく 千はぎの様子を見まするとこの通り だんだんと年頃になってはいるしとは打っ て変わってどこの美しくなっていた故え また未練が出てきたというのじゃな 恥ずかしいござります未練といえば未練で ござりまするが飯付けの約束までした女 じゃ他人に取られとはないけれども君の 悪い長虫は未だにやめるどうしたものかと 迷っていた矢崎幸いなことにここの寺は 手前たち一家の母大師なのでござります 千葉がまたこの寺へマイやマイや蛇の餌の ネズミ取りに来ることを限知りこっそりと この寺に寝泊まりしておりましてこの通り まいやまいや転合いを見計っては意見に来 ますけれどは相手になってもくれないので ござりますそんなもののこんな長虫のどこ が可愛いのかく悔しくてなりませぬし 血はぎ目が裏めてなりませぬ美しいだけに なお1枚血ぎの長い尻りが悔しくてなら ないと見えて三之助はじわりと目頭へ涙 さえ浮かべながら恨しそうに足元のお室を 睨み据えました目を覆い表を伏せて血ぎも 消え入りたげな白峰をあげながらシクシク と泣き入りました意外な秘密が隠れていた のです しかしそれにしてもどこへ降ったあの血が 機械でした誰が下たらしたか千葉かそれと も三之助か残った謎はそれ1つなのです 名人のさえた声が突然えぐるように襲い ました憎いか 三之助は千ハぎは憎いかと聞いておのじゃ こうござりますいえ裏飯しござります こんなに思うておるのに人の心を知らない がただただ裏飯しこざりますいえいえ千き よりも父が憎い親が憎い実の子を捨てても 他人の子をかうような父が親がもっと もっと恨めござりますそうか親が憎いか父 が恨めしいかではお前だなその裏飯しさの あまりにあったに違いないのです名人の声 が刺すように三之助の胸を突きりました 隠しても目は光っているぞお前が あんないずらしたんだろうき君の悪い不に 何でござりますあんないらとは何のことで ござります知らばくれるな父が憎い親が 恨めしいと今その口で言ったはずだ 他人の子をかかって自分を出した腹せにないずらをしたんだろうの何のことでござります?一向こ手前には分かりませんが何をお疑いなさっているんでござります [音楽] 血だどこの前垂らしたあの血のことなんだ 血と間の血ぎっとなって驚きでもするかと 思いの他に三之助は軽減そうな顔をしてい のですばかりかまあどうしたんでござり ましょうというようにそばから血ハぎも表 を上げて泣き濡れた目を見張りました名人 もいさかずが外れて意外そうに2人の顔を 見比べました目の色顔の色3の之助に嘘は ない血ハぎにも疑わしい色は見えないの ですそれのみか急に三之助が愛しくなりで もしたように濡れた瞳へ情熱の光を称えて 美少すらもかわしているのです へへ飛んだ長い尻尾がお室の中から出たか と思ったらまたろりと隠れてしまったか どうやらこいつは何物だよ来い兄をまして いるんだへ日じゃないよ新規巻き直し狂っ たことのねえ癌が狂ったから出直さなく ちゃならねえと言ったんだマグマしねえで ついてきなよましているのは足じゃねえ ですよバカバカだこそまぐしてどこへ行く んですかよそんなところは出口じゃねえん です目ですよ外へ出るんならここをこう 曲がってこっちへ出るんですよどこに出口 があるかどっちへ道が曲がっているか霧の 中をでも歩くような心持ちで目人は心身と 考え込んだままでした不思議は不思議に 続き不気味は不気味に続いてしかも血の謎 はいよいよ深い名務の中へ入ってしまった のです家族以外のものいや断じてそんな はずはない丹年にあの時調べた通り外から あの2階へ入りうる足場は皆でした家人の 目をくらまして押しったら確別出ない限り はどうあっても丘案のものに違いないの ですしかしその家族のものは酔いのあの 裏返しで試した通り諸性大臣母親女中誰 1人それと疑わしい顔色さえ変えたものも ないのでしたわずかに1人あった娘の血葉 は血を垂らすどころか生地を吸いたがると 飛ん田長ムシを勝っていたのですあの時 あんなに震えたのはその秘密を知られたく ないために我知らず怯えたに違いないの ですしかもその秘密の長い世につがってい た三之助もあの目あの色あの様子ではどこ に1つ疑わしいところはないのでした 謎の雲は果てしもなく深くなったのです 考え迷い考え迷っていつどこを歩いたとも 知らないように歩いてきた名人はぴたりと そこの泉橋の上に立ち止まると釘付けに なったようにだまま心身とまた考え込み ました [音楽] 夜もまた全く吹け渡って星もいつの間にか 消えたか深夜の空は真っ暗でした影もない 音もない思い出したようにざわざわと 吹き渡る川風が 生ったかくりふわりと人の息のように 襟り首を慣れて通りました異コンあっての 仕業かいたずらかそれすらも分からないの です掴みどころがないのです思い出した ようにまた川風がふわりふわりと撫でて 通りました預けるように橋の下でビチビチ と川波が鳴りました目人は心々身々と考え 続けたままでした考えているうちにしかし 名人の手はいつの間にかそろりそろりと あの顎を撫で始めました 切なですなんでつまらねえあんまり考えすぎるからこが難しくなるんだ手はいくらでもあるじゃねえかよバカバカしいはは吹き上げたように突然大きく笑い出したかと思うと爽やかな声が登りました [音楽] [音楽] ね兄兄と言ってるんだねえのかよ電力え [音楽] いるんですよここに1人おるんですよ君の 悪いほど考え込んでしまったんでどうなる ことかとこっちも息を殺していたんですい たらいきなりパンパンと笑い出したんで気 が遠くなったんですよ足がここにおったら 何がどうしたと言うんですどうもしさ岡の 三岸先生は何商売だったっけな医者じゃ ねえですかよ医者なら違ったって不思議は ねえだろうそれも不思議だとしませんよお 出きも切りゃ血の出る傷も手当てをするの がお医者の1つゲなんだ医者のうちに血が あったら何がどうしたと言うんですかよ血 をいじくるが火業なら血を始末する亀か桶 があるだろうというのさどう考えたって あの前たちは外から忍び込んできた いたずらの仕業じゃねえ確かにあの家の ものがやったにちげえねえんだ その地も中白空かに貯めてある病人の血を塗ったものにそいめと言うんだよだから血がめに餌を垂れに行くのよついてきない [音楽] [音楽] [音楽] 変な声を出させなくてもいいんだよそういう間にもまた今夜血を振らされちゃことが面倒だ早いとこを餌を垂れておかくちゃ ならねえからとっととついてきな [音楽] 何か 目覚ましい門流を思いついたと見えるの です飛ぶように夜けの町を抜けて岡の屋敷 の主町へ曲がっていくと抜きを揃えて ずらりと並んでいる底の主屋の一見へ ずかずかと近づいていっていつにもなくご 要名を名乗りながらどんどん叩き起こし ました 八丁ぶりのうんじゃご用の筋がある早く 開けろ慌ってうったいながら超末らしいの が開けたのを待ち受けてずいっと中へ入る と矢庭に不思議な品を求めました生がある だろう小に入れて少しよせ主町とまで 名のついた町の主屋なのです生しがない はずはない何事かというように筆まで添え てコツボに入れながら持ってきたのを片手 にするとそのままさっさと岡の屋敷前へ 取って返して咳立てながら電力に命じまし たおめの1つだ早えところ血めのありかを 探してきなよ何をマぐまぐしてるんだ内か 外庭かどっちにしても下カ部屋の近所の 庭先にちげえねあり場所さえ分かりゃ おいらがちょいとおじいするんだ大急ぎで 探してこなくちゃよが開けるじゃねえかよ ひねりひねり横地のくぐりき戸から入って いくと中部を乗り越えてでもいると見えて しばらくガサガサという音が続いていたが ぼっかりとまた顔を覗かせると息を殺し ながら名人の袖を引きました全力1つゲ のじず中部を乗り越えて行ってみると安城 内と外庭との境になっている下部屋の小窓 下に狙いをつけたその血めがあるのです蓋 を開けてみると中はぐっちゃり生臭い石が ブーンと鼻をさしましたのドロリとした やつをちょっぴり棒にでもつけていきゃに だって天井にだって自由事在に血が振らで は1つ流のエビレを釣ろうよそっちへどき な今の先求めてきた用意の生を筆に示すと 何を思ったかめのその蓋のつまみ柄の周り へペタペタと塗り付けましたそれだけなの ですさあできた根ぐへ帰っていい夢でも 見ようぜキトキとしていると置いていくよ い合い切りのような鮮やかさでしたなる暇 もひねる暇も声を挟む隙さえないのです さっさと風のように発掘りへ帰っていくと ブツブツと口の中で何か言っている電力を 尻り目にかけながらふクふクと夢を急ぎ ましたと思う間もなく開けるに早い春の夜 は夢色の赤つにぼかされてしらじらと 白み染めました同時ですバタバタという 足音がしのの目の道に響いて表の向こう から慌たしく近づきました釣れたの ぐっすりと眠りに落ちていたかと思ったの にさすがは名人うも心の耳は起きていたの です足音の近づくと同時にガバと 起き上がって待ち受けているところへ3案 の家のが案内も 壊先へ飛び込んでくると一風の一種を 投げ込みながらそのまま急ぐように 咳き立てましたすぐお運び願いとのことで ござりましたなんでござりまするか遺は 手紙の中に仕めてあるそうでござります 故えお早くお出まし願います うろえた文字で走り書きがしてあるのです 機械またまた生地が降りそろただし軸には らわず念のために突存咲夜はものを 取り外し置きそろところただ今見れば壁に 2箇所と板に3箇所べったりと血の下たり これ そ老速ろながら今一度5件分願わしく五が 待ち詫びより揃う読み下しながら静かな 意味を見せると振り返って電力を促しまし た 王台が釣れたようだぜ早くしゃっきりと 立ちなよ何をぼっとしているんだガい なさんな変なことばかりなさるんで枕本へ 座って旦那の願顔を見ていたら頼みもし ねえのに溶岩開けちまったんですよ一晩寝 なきゃだらってとっとなるんです呆きれた やつだな寝ずの番をしていたって世が開け なきゃ魚は釣れねえんだ夕べ塗ったうしが 物を言っているんだよ目が覚めるから飛ん できな声も早いが足も早い朝風ぬい町から 町を急いで主町の三屋敷へ入っていくと どこの地でも調べるかと思いの他にそんな 煙もないのです内玄関先へ出て待って 青ざめ震えていた3の姿を見ると矢庭に ズバりと命じました手を見たい家のもの 残らずこれ 呼ばしいててと申しますと文句はいり ませぬ言いつけ通りにすればいいのじゃ 早くこれ1人残らず呼ばしいいずれも いかりながら大臣ゲナ下残らずの雇い人 たちがゾろぞろと出てくると左右から手の 林しを作って名人の目の前に差し出しまし た ちらりと見た霧り誰の手にも異常はないの です後から夕べのあの千葉がおはげに姿を 見せるとそこのついたての影から白い 美しい手を恥ずかしそうに差し出しました しかし異常はない後に続いて母親が姿を 見せましたちらりと見るとその左手に白い 布が巻いてあるのです 切でした鋭く名人の目が光ったかと思うと 一緒にえぐるような声がその顔を打ちまし た その手はうるしかぶれでござろうぎょっと 色を変えてうろえながら隠そうとしたの しかしもう遅いのです芸人が幹事と大きく 笑いながら手を振るようにして雇い人たち を追い合ってまず秘密の壁を作っておくと 静かに浴びせましたこれがう門龍の釣れ餌 だよくお分かりか夕上にわざわざやってき てこっそりとあの血めの蓋へうしを塗って おいたんだその蓋に触ったからこそその 通りうしに被れたんでござろう何をあって あの血の亀の蓋を分けなった 言いませぬな情けも水物銀味千技も水物だ 手間を取らせたらいくらでも単価の用意が あるんですぜただのようであの亀の蓋へ 触ったんではござまい度々2階のところの 前血が降っているんだそのうるしかぶれが 何より生きた証拠をすっぱりとネタを 終わったらどうでござんすわ分かりました なるほどよくわかりました この証拠を見られてはもう隠しもなります よ申します申します名人に攻め立てられて はと覚悟ができたと見えるのですかねる ようにそこへ泣きく崩れると追いたる母親 は涙にしゃくり上げしゃくり上げ秘密を 割りましたの申し訳ござりませぬ人騒がの あの血を巻いたのはいかにも手前でござり ますそれもこれもみんなこのもらいの 娘はぎ故えいえ実の子に後を継がせたい 親心の迷いからでござりますお尻かどうか 存じませぬがどうした星のせいかこの千葉 が人の嫌う長ムを持て遊ぶ癖がござりまし てセがれの3之助がこれを意味嫌い家でし てしまったのでござります父親は恩ある人 の娘じゃ他から容姿をもろて後を継がせる 故え投くに当たらないとこのように申し ます私から見れば三之助は腹を痛めた実の セれ人の噂に聞けば長崎で医者の修行を得 てこっそりと江戸へ帰ったよしさずやセレ も血はぎと添いたかろう後目をつい たかろうと親ゆに胸を痛めてできるもの なら血に長節遊びをやめさせようと度々 父親に接つきましたれどがとしてお 聞き入れがないのでござりますば明りか 近いうちに血ハぎの用姿を取り決めるよう な口振りさえも漏らしましたゆえ女心の朝 に一悪い噂をこの家に立てさせてと存じ あのようにとの前血を降らせたのでござり ますさすればいつかは人の口の橋にも 伝わりあそこは幽霊屋敷じゃ血が降るそう じゃと噂も立ちましょうし盾は容姿に来て もない通り着手がなければやがては実の セがの三の之助も後を継がれる通りと親心 からついあのような人騒がせをしたので ござりますほしいくださりませ 血ハぎはいかにも恩ではござりますが やっぱり他人三之助は実のセレできること なら実の子に後をつがせとござりますそれ がそれがこう思った親の心でござります 意外にもことはやはり千ハぎの長ムシ遊び に関わっていたのですしかも親故のこう 思う親心故に血をふらしたというのです 名人の目には爽やかな美少と共にかつかな 雫の光が見えました そうでござったかよくお心持ちが分かり ました何も申します 関わったが西じゃ前取り計ってよ自はハぎ殿の [音楽] 最後まで心遣いがゆかしいのです驚きと悲しみに打たれながら追いたての影にしょんぼりとたずんでいたぎのばへ歩みよると静かに悟とすように声をかけました [音楽] 長虫シの肌人の心は人の肌は温かい [音楽] そなた3の之助殿が糸州はござらぬ か真っ赤になりじゃな首のそのもみじで よくわかりました3殿の木殿は三の之助殿 が嫌いではないそうじゃも早くかの用意を 差し合い行は松永町の小福寺声も出ない ほどに3が打ち喜んで騒がしく乗り物の 用意をさせながら迎えに出そうとしたの いやまたしゃいい乗せていくものがござる 夫婦は豪にあのお室は金物じゃ寺へ届け たらあの長虫の始末はお尚が年頃にして くださりましょう三之助殿のと引き換えに 迎えておいで 召され千ぎ殿も担当人肌にあかりなさい ます よへ一肌うめえことを言った ねちしようやく今になって音が出やがった 嘘やお前がならなくていつになく気づかで 良かったよそれにしてもおいらとお前は いつもの神さザラザラしてちっと君が悪い が他に撫でる人肌はねえお前の首でも撫で てやらこっちへかじなよくすぐったそうに 首をすぼめた電力と肩を並べながら早そう さっさと吹く朝風の中へ急ぎました

右門捕物帖は、昭和三年(1928年)に発表されました。当時の花形作家、佐々木味津三の代表作。1929年には、はやくも映画化されております。おなじく代表作の旗本退屈男は、昭和四年より連載されております。

◆登場人物紹介
近藤右門……親代々の同心で、あだなは「むっつり右門」
伝六……右門配下の岡っ引き。無類のおしゃべりや
善光寺辰……辰九郞。夜目もきけば、投げ縄も命じんな、右門の配下。
あばたの敬四郎……八丁堀の同心
松平伊豆守……幕府の宰相にして、右門を信頼する

岡三庵……町医
平四郎……書生
千萩……三庵の養女
三之助……三庵の息子

◆用語集
初午……2月の最初の午の日
祈念……神仏に願いが叶うように祈ること
官公……カンコウ・菅原道真の敬称
闖入……チンニュウ・突然、無断で入り込む
代脈……ダイミャク・代診
陸尺……ロクシャク・駕籠舁き
須弥壇……シュミダン・仏像を安置する台座。須弥山をかたどったもの。
しののめ……あけぼの。明け方
来駕……ライガ・来訪
和合……ワゴウ・結婚。

■目次
0:00 血の降るへや 一
6:21 血の降るへや 二
16:55 血の降るへや 三
23:41 血の降るへや 四
32:10 血の降るへや 五
52:55 血の降るへや 六

◆野村胡堂の著した最初の時代長編「美男狩」毎週火曜八時連載中!

◆吉川英治の傑作長編!「鳴門秘帖」毎週木曜八時連載中!

◆完結!野村胡堂の痛快時代劇「磯川兵助功名噺」

◆完結!山本周五郎の滑稽長編「楽天旅日記」

◆完結!吉川英治の悲恋物語「江戸城心中」

◆完結!山本周五郎の描く由比正雪「正雪記」

◆完結!山本周五郎の下町感動物語「むかしも今も」

◆完結!野村胡堂の大岡越前「池田大助捕物控」

◆完結!山本周五郎幻の直木賞作品「日本婦道記」

◆完結!吉川英治の描く日本の心「新編忠臣蔵」

◆野村胡堂の銭形平次
○長編

○短編

◆久生十蘭の捕物帖「顎十郎捕物帖」

◆吉川英治と云えばこれ「宮本武蔵」

◆完結!山本周五郎の傑作長編「風流太平記」

◆完結!山本周五郎の描く田沼意次時代「栄花物語」

◆完結!山本周五郎の描く芸とは?「虚空遍歴」

◆完結!山本周五郎の海洋ロマン「風雲海南記」

◆完結!若き日の山本周五郎の青春「青べか物語」

◆完結!佐々木味津三の旗本退屈男

◆完結!落語「牡丹灯篭」

◆完結!山本周五郎の仙台騒動「樅の木は残った」

◆完結!山本周五郎の最後の長編「ながい坂」

◆完結!山本周五郎の心「さぶ」

◆吉川英治の「日本名婦伝」

◆山本周五郎の長編リスト

◆怪談物を集めてみました

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