【聴く時代劇 朗読】183 吉川英治「牡丹焚火」〜一世一代、恋の告白

吉川英治 作
牡丹焚火 この広い牡丹園の中に家はたった1軒
しかない。それも凶作地の貧農にも劣る衣食 をして、草の生えた破れ廂の下、にただ
浮世の風がないだけを楽しんでいるかの ような六兵衛とお筆であった。
「お前ももう妙齢だの」 二十歳にもなる娘を眺めて六兵衛は深いため息
をつく時があった。 「世間も見たかろうが世間を知らぬ幸せという
こともあるでな。 年を取っていくと分かるよ。
いい向こうをわしも心がけておるでの。ま 、世間を羨まずにこらえてくれよ。
父1人子1人だった。 雨のそ母版などは芋がゆの鍋をかけた老を
挟んで、ついあまりにしみじみとコツ肉 だけの話は涙になりがちだった。
兄の十像でもいたらばなあ。 お前も望まれる先へ嫁にもやれたが。
お父さん、もうそんな話はやめましょう。 私はこうしておそばにいて花を作っている
仕事に何の不足も考えたことはありません 。
家出した兄さんこそかわいそうです。 遠こで何をしているやら。
もう6年になりますね。兄さんがいなく なったのは私が重の年でしたから。
いずれは野ずに生き倒れてろな死に様を するやじゃない。
見返女の尻りを追って親も捨てたような やつにな。なんでいい日が出るものか。
兄さんは優しい人なんです。 子供の時から私にも優しかった人ですもの
。 だけど女が行けなかったんですね。
お前も兄貴の鉄を踏むなよ。女の春は もっと怖いからの。
ええ、大丈夫です。私は だがいつまでもボタン畑の声巻きや草みさ
せておくのもすまない。 お筆で
俺はすまないと思っている。 まぶを抑えている指の節からポトポトと
おいの涙がこぼれる。 お筆は土に荒れた父の手を見ると
生涯独り身でいてもこの父のそばにいて あげようと思うのだった。 なぜか侍をやめて若いうちからこの本所の
お果てのカ鹿剤にボタン畑を買い世の中を 見て暮らすのがわしの世の中と俳句などを
作って早くから漏した生活を好んでいた 6米なのである。
ボタンは今では数百株になっていた。 おきの古いのでは100年以上のが何十種
もあり分けてきの高さを超えるような 混論寺は天下のメ下だと江戸の文人
onder勃は年々咲くのを楽しみにして いた。
だがこの広いボタン園の経営は用意で なかった。
収入は鼻時きに杖を引いてくる人たちの ほんの心志しに過ぎない茶代しかなかった
。 貧乏は少しも苦しない6米だったし、
むしろ製品を楽しむにできていたが、息子 の十像が家出してからはめっきり瓶が白く
なった。 同時に多くのボタンの木の移植だの席だの
虫取りだの1年中もある土仕事もお筆と 2人きりで追わなければならなかった。
6米さんもうそろそろ寝移しを始める頃 だろうな。
今年も手伝わせてもらおうと思ってきたが 俳句友達の三定という若い男である。
よくしたもので十像が家出してからはこの 暇のある若い配人が忙しい頃になると
きっと手伝いに来てくれた。 ありがとう。もう10日ほど前から
ボツボツやってるところじゃ。そんなら 早く行ってよしてくれればいいに。
費用も払わぬのにまさかと思うて。 こんな遠慮わしにはいらぬことだ。じゃあ
今日から手伝おうと三定は着ていた島の 着物や格帯を解いて普段楽をしている
らしい手足には似合わないらぎに着き換え た。
すまんの 味噌屋の若旦那がと6べは笑ったがまた心
からありがたそうに頭を下げた。 6米というのは本名の6米という名もじっ
た彼の配合で66として役に立たない亀に 等しい人間だと自らを髭してつけたものだ
という。 移植は初頭に始めて11月には切り上げる
。それが済むとボタンの小木に自然と できる虫食いのカレー枝を小さいの切りで
引く仕事がそれも半月はかかった。 お筆さん、去年のボタン焚き火は面白かっ
たなあ。 三定は絶えずお筆のそばへ来てお筆の
手伝いみたいに仕事していった。 手ぬいかぶりに赤い助きをかけ、鉄光キャ
でボタン畑の間に枯を引いているお筆の姿 はこの木のうちのどれから咲く花よりも
精霊だと三定はよく見取れていた。 本当に去年は賑やかでしたね。
だから私はボタンたけの番が毎年の楽しみ でね、あれが過ぎると来年の冬がすぐに
また待たれてならない。 私もとお筆は言って三がいることなどは
よそに深い瞳で冬の日の寒く住んだ空を見 ていた。
お筆さん何を考えているんだね 。私ボタンだけのこと。
そうか。そんなに楽しみかい。 もう今年もすぐだなあ。 虫食って枯れる木は花を持つ逆りの若にも
あるが、古い木になると40年、50年も 経ったのがある。
古い木ほど硬くて太くてボタンの枯として 遠飛ばれた。
廃人たちはその古い質のいいのを探してガ を掘ったり茶席の風呂側の下で炊いて
ボタンで炊くと茶がうまいと言った。 そういう細かい味覚は続には分からないが
、俗人でも分かることはボタンの枯から 燃える炎の美しいことだった。
50年も経った古木を焚き火にすると くんくんとして香水のような匂いが上がる
ばかりでなく炎は強くて不動王の廃行に あるようなグレンと資金と逆号のような光
を洗礼に描き出す。 でもここのように紅沢さんにそれができて
はやはりただの薪とする他なかった。 で、このカレーキりが住むとそれを山と
積んで焚き火をし、その番には六米の 親しい配人たちが集まって飲み明かすのを
毎年の霊にしていた。 あ、三定さん、そこに束ねてある分は私が寄り分けておいたんですから後で私がこ合いしまいますから。 これだけ別にしておくのかい?
ええ、通りで良気ばかりよってあると思った。誰にやるのかね。春になると毎年決まってボタン巻きを譲ってくれと言ってくるお方があるんです。 やはり配会仲間のいえ、お侍い様。 お侍いがはてね、侍がこんなものを何するんだろう?まさか富流ではある前に。 3
点が呟いてる間にお筆は自分で寄ったボタン巻きの束を下げてさっさと小屋の中へそれをまいに行ってしまった。 すげない後ろ姿へ三定は
分かってくれないのかな?俺の心をと息を ついた。
そして土に荒れた自分の手へ目を落として ちょっと暗い顔をした。
三点はおナぎがしの味噌屋の次男だった。 店の手伝いもろにしないでぶらついてる身
なのでボタン園で向こうを取るならまあ 3定さんというところだろうなと他のもの
は見ていたが ところがお筆さんはあの男を透かない
らしいと観察するものもあった。 群れの29日だった。
年の瀬のない配人たちが20人以上も6米 の家に集まって持ち寄りの酒を組み、
やがて酔いになると屋外にボタンを山の ように積んで焚き火していった。
ボタンの火に当たると悪病にかからないと いう伝説があるので母園のうちに今年も
紫色の大火炎が上がると町の方から老人や こう連れた神さんたちがゾろぞろ書き声
入ってきて 綺麗い ぞと炎の柱の中に黒い人影が輪を作った。
呑キな配人たちはその間に混じって酒の 沿いと炎のホテルに皆ボタンのような顔を
してたれていた。 6米もむろの上にあをかいて箸で小バチを
叩きながら歌っていた。 お筆さんちょっとこっちへ顔して。
探偵が彼女の手を握って肩を押した。 炎を囲んでいる人の輪の中に彼女は立って
いた。 不思議な光際を駅と上げているボタンの山
へ。なおボタンの薪を投げ込んでいたので 美しい汗が瓶の根から流れていた。
何ですか? 無表情に言うとあっちで話すから。
三定の目もルツボみたいな光を帯びている 。ここで行ったらいいじゃありませんか?
拒むといつになくまあいいからと腕の 抜けるように引っ張った。
酔っているので逆らわずについて行くと お筆さんいきなり彼女は背中を疲れて
ク小屋の中へよけんだ。 後ろの塔を固く閉めると三定は泣くような
声で く人してくれおさん。わしはもう
強敵に闇の中で抱きついてきた。 恐ろしい力が争っていた。焚き火の場所
からは離れていたし、そこの群れはいなく 騒いでいるので誰も気づくものはなかった
。 声を出しますよ。やがて小屋の隅でお船が
はんだ声で言う。 三定の目が暗闇の中に
じっと不気味に光っていた。 2人の荒い息が数えられる。
それきりどっちもしばらく黙っていた。 コンクラのように眠め合っていた。
ため板の隙間から焚き火の光が赤く島に なって見えるのである。
お筆の手に何かキラと動いたのでは三定は 迫りかけた体をぞっと後ろへつめた。
おい刃物思ったな。え、カマです。お筆は 冷たくいって投げた。
乱暴すれば私はこれで身を守るだけです。 三点さん、女だと思ってバカにすると聞き
ませんよ。 よし。
声を振わせてじゃあ来年にしよう。 来年が何です?まあいいよ。何もお前は
知らないのだから。 私もあなたのことなど考えてみたことも
ない。 俺は感動になった。
それがどうしたんです? お筆さん、訳を知らないからお前はそんな
口が聞けるのだろうが。訳を聞いたらバチ が当たるぜ。
どうして? お前の父親から頼まれて俺はこの3、4年
の間に200両近い金を店の長場から 掴み出している。
それがこのクレーキでバレたのだ。え? お父さんが?嘘、嘘ばっかり。
嘘じゃない。 でも夏冬赤じみた1枚でいるお父さん。
好きな酒も滅ったに飲まないあのお父さん にそんな大金がいるはずはありません。
北米殿やおさんにその金がかかったという わけじゃない。
行方知れずになったお前の兄の十像が竜の 大花屋や大黒屋で遊び散らした頃の借金な
のだ。あ、兄さんの? それをお前に聞かせずに来たのは6米さん
の親心というもの。の銃像がぶ不相王に 借り散らした金のうちには語りも同様な
立ちの悪い戦もある。 返さなければ訴える。また金で返せない
なら娘のお筆さんを深川の羽織りに売って もらうじゃないか。
そんなコアバもあったのだぜ。 なんで6米さんにお前の体を売れるものか
と言うと、口じゃ憎い憎いと言いながら 十像も可愛いのだ。
臭い飯は食べさせたくない。 そう打ち明けられてみればわしも黙って見
てはいられない。それからのことなのだ。 何も恩を着せるわけじゃないが。さん、俺
の心も少しは買ってくれたってばっちも 当たる前が。
お前は聞いているかいないか知らないが、 6米さんとしちゃ目のうちに2人は一緒に
なるものと心のうちで決めていてくれて いると思う。
今夜のことは映画覚めてみれば十々わしが 悪かったが、来年の春にでもなったら店へ
も詫びを入れて改めてこのボタン園へ用姿 に入るからそれまでに今言ったわしの言葉
が嘘かどうかよく6米殿から聞いてみるが 良い。
3点が出ていた後でお筆は1人でそこに 泣いていた。
空に届きそうなボタンの炎も消えるばかり 泣き抜いていった。 もう4年も続いて必ず毎年1度来る。
ボタン巻きを1話譲ってくれまか。 そう言って訪れてくる若い侍なのだ。
春の末が取れると間もなくである。日も 大概月中頃と決まっていて、いつも来る時
は牙であった。 筆が初めてその人を見た年はまだ前髪立ち
でラ電のクに白と紫と寄り合わせたを挟み 、その駒のせい恋い受けたボタン巻きを
積んで帰っていた姿が強く彼女の目に残さ れていたが、次の年来た時はもう原服して
道るほどリとした若い侍になっていた。 の名も生命も言わない。どうせ焚き火にし
てしまう巻きなので6米もまた 値などはと受けた試しはなかった。
とって21になったおではその人を待つ ことが20十歳の去年の春よりもずっと
強かった。 1年の思いがボタン巻きほど胸に溜まって
いた。 七草を過ぎる頃から
明日は夢に見たり天井におかげが見えたり 彼女は眠れなかった。
だがどうしたのか今年に限って月中を過ぎ てもその人は見えないのである。
春先の日向へ板を立てかけ、父のものや 自分の勝負を張りながら
どうなすのかしら。 うつだった。
ああと気がつくと胸の父の下当たりが熱く 傷んでいる。
誰か下時を踏んでお筆さん合成が出るの? 背を言ってこの数日風気味で父の寝ている
家の中へ入っていった。 三定の兄のおぎがしで味噌をしている犯罪
らしかった。 筆は胸のうちで
またあの話にと察して急に気が暗くなった 。
茶を進めに敷き物や歌詞なども出しに家へ 入らなければ悪いと思いながら何か襲われ
たように心が救んで どうしよう
と眉が曇もる。 泣きたそうな痛みを抱いて彼女は
考え詰める。 父に今日もあの返事を聞かせろとみそ班が
弟の算定に変わって迫ってきたに違いない 。
押し詰まったくれから幕の内へかけて急に 湧いてきた円談なのである。もちろん三手
をこのボタン園の用姿にもらってくれない かということなのだ。
単純でない問題がその裏に解しているので 、他人の口を狩らずに兄の味噌犯が自身
ほとんど毎日のようにここへ来ては彼女の 父へその話を迫っているのだった。
父の6米はただ 娘の心次第にとばかり答えているらしい。
も薄う薄うお筆が三定を好きでないことは 感じているが嫌と言えない弱点に縛られて
悶も々としている様がお筆にもこのいくか で十分に分かっていた。
その父の苦悩を黙って父人子1人の貧しい 善を挟んで飯と共に噛むお筆の気持ちも
辛かった。 だが、お筆にはどうしても三定という人間
が自分の夫になる人でない気がするので ある。
彼女の心には常にいっぱいに別な男性が 住んでいて、その人の他に男を考えられ
ないせいもあるが、 お筆
父の声だった。 と白い顔して針板のそばに立ちんでいると
家の中から6米の呼ぶのがまた聞こえた。 いないのかお客様が見えておるにどうして
いるのじゃ。 あ、はい。
思わず震えが走ってお筆はこう大きく答え たとその時
そこから半長も離れているボタン園の 入り口の方で馬の稲きが聞こえ木戸につけ
てある子がガラガラなった。 あ、
お筆はまだ動かなかった。 は風の訪れと共に毎年牙で来る人。
もしやと胸が踊る。なる子がまた鳴った。 慌てて客の味噌班へ茶を出して。
お父様、今表の木怒の方へ誰か来て いらっしゃるようですから。すぐ延々遠に
身をくと味噌が膝を向け直して お筆さん、今日は6米殿の前でたっくりと
あなたの気持ちを伺いたいことがある。 すぐ来てくださるだろうな。はい、参り
ます。 3度目のなるがまた聞こえてきたので6米
も思い出したらしく わざわざ閉まっている表の木戸へ来て訪れ
ているところを見ると毎年来るあのおブけ かもしれん。
今年はいつもの年より遅かったようだ。 早く行ってみな。え、ではちょっと
味噌班はしつこく わしも忙しい中を抜けてきているからだ。
弟のためだから仕方がないようなものの 洗い立てすればするほどあいつに使い込ま
れた銀高はちっとやそっとのものではない 。
なんとかここで片付けてあれの身も固め させねばならんと思っているのじゃ。
用事が住んだらすぐに来ておくれよ。 ええ、参ります。だが彼女の耳にはなる子の音が揺れ続けている。そ班との膝の間には三定の手紙みたいなものが広げてあったが、それすら剣をの震えを感じる。 走っていく彼女の雑りの裏にもう別れの
春先の土が粘りつく。 その姿を駆き越しに見ておおと木怒の外の
人影は言う。 12輪誇びている老倍のミにその人を乗せ
てきた黒影は青がいの光る暗を置いて繋が れていた。 お待たせいたしました。
いそいそ木戸のか抜きを外してお筆は ニコっと微んだきり顔をあらめてしまった
。 しばらくでした。
川旅と新しい服りが土を踏んでいた。 爽やかにひの開いた馬乗りまの膝の辺り
まで手を下げてこう餌釈するのである。 その顔をあげ、霊によって今年もご無心の
もの頂戴に参りました。 取っておいてくだされたであろうか。
若さの満ちている微笑みを称えてその侍は 言う。
静かな小ではあるが物を言うと白い歯が 光る。意師の強い眉は今年見てもいかにも
黒い。 おは見せられている自分に気がつかなかっ
た。 1年の間待ちこがれていた死母がみつつも
大胆に瞳の窓からじっとその表に見取れて いた。
いつものボタン巻き 今年もお分かちくだされまいか
お筆は自分に帰ってはい。取っておきまし た。
いやあ、お忘れなく。なんて忘れましょう 。では早速ながらお待ちくださいませ。
小屋の方へ走り戻って彼女はすぐにからげ てあるボタンの芝を侍の手に渡した。
それを馬の背のキラびやかな打電の クいつけて
片けないと侍はといた。 毎年のご心よう心にかけていつもお金へ
賜わって俺を申し上げる。ま、こんな つまらないものを
ところが 明年はもうご心にも参れぬと思います。
年ごとに1度ずつお目にかかるのがなんと なく楽しまれていたが、あなたにも今年
限りで会えないでしょう。 お幸せに暮らしてください。えと、どうし
てですか? 反のご都合で国元へ帰ることになったの
です。あ、 あなたにはお国があったのでございますね
。 お筆の瞳は涙の影に隠れてしまった。
白い筋が頬を伝わって玉になって膝を まろび落ちている。
お国は遠いのですか? 遠いのです。武士は何か懐から取り出した
が、お筆の涙に精せられて手のひのうちに 握っていた。
大国の方ですか?いやと口重く考えていた が、
いくもの間つい明も生命も申さなかったが 、これがお別れ。覚えておいてください。
へ、きっと胸に刻んでおきます。 決は香100万国の五市販富山の前田出雲
の神でさえ孝太郎というもの。そう告げ て孝太郎もふと瞬いた。
慌てて顔を横に背けさっきから手に握って いたものをお筆の手に握らせた。
あ、何ですかサエ様。 しとこ太郎はひらりと暗の上へ飛び移って
金などお気持ちに背こうが他に霊を表す 良い方法もないので失礼だが心ばかり
取っておいてください。お家父上にも よろしく
あけません。お筆はコマの後追いかけた。 3枚のコ番が拍紙の中からこぼれた。を
拾ってまたよめきつつ 行けません。行けません。こ太郎様。 安の人は振り向かなかった。
こは軽くかけて4つ目の橋を渡っていた。 オフでも橋を渡ったが、もう高太郎の影は
どこにも見当たらない。 昼間も人通りの少ない本性女の抜が彼女の
泣いている目に死人の町のようなうろに 移った。 なぜ言わなかったのか。なぜ?なぜ?
お筆は食いて自分を責めた。 この恋を良し入れられないまでも今年こそ
は正直に苦しい心持ちを訴えよう。 そう胸に決めて待っていた今日ではないか
。それを お筆は走りながらまつ毛から涙を巻いた。
今言わなければ永遠に言う日はないのだ。 一言でも
彼女はどうしてもこのまま後へ戻る気に なれなかった。
一言でも良いから自分の真実の言葉をあの 人の胸へ片として生涯持っていてもらい
たいと思った。 3枚のコ晩は手に握っていたが金など
返そうと捨てようと問題ではない。ただ 望みはもう一度の機械をである。このまま
永遠の他人となってしまうには忍びなかっ たのである。
寂しい貸をお筆は泣きながらかけていた。 川には在目イカがいっぱい浮いていた。
騎士には在目が積んであった。 お待ち。おい、お待ちしてば。
追ってきた男がある。後ろから抱きつかれ て彼女はそれが三定であることを知った。
どこへ行くんだ、一体。おい、お筆さん。 あ、3点さんですか。
今日わしの兄が霊の話で言っているはずと そっとボタン園の影に立っているとなんだ
か様子がおかしい。 の侍は一体誰だい? 誰でもありませんが、私はもう一度お目にかかりたい。どんなことしてももう 1度。
じゃあお前はあの侍に いえ、お金を返すだけのようです。このお金を。嘘え。いきなり腕首を掴んでお筆で。 よくもお前は
三定の赤い目は血のような嫉妬に染まっていた。のし息からは酒の匂いが炎みたいに燃えた。お筆が逃げかけると彼の唇は歯を噛んでちくし俺をよくも今日まで親子して釣ってきやがったな。 あれ?そ、そんな
騙したんだ。俺をみやがれ。 在目と在目の間へお筆は突き倒された。
三定はそこに落ちていたイカ市の飛び口を 拾って、俺も死ぬがてめもと叫んだ。
昇心で全な人間の夜けになった行層であっ た。
お筆はひーと思わず声をあげた。歌の影に いたイカ田したちがその声を聞いて笑笑
かけてきた。 この野郎バカな真似しやがって。
飛び口を奪われた三定はその絵の方で 殴りつけられた。和命立つとまた殴られた
。 三定はちくしょ。
ちくし田したちの足毛の元に学ずだらけになってもがえていた。その間に筆は我を忘れた姿で町の地へ走っていた。 疲れきってその足が止まった時、ふと我に
帰ってみると目の下には住田川の水が秩父 や上州の雪毛の水を赤黒く叩えて
黄昏れかけた江戸の町を2つに割って 押し流れていった。 柳橋の皮資源で酔いから騒いでいた人群れ
がある。 頃パタりと切り上げて裏の三橋から船へ
移った。 侍ばかり7
川波から跳ねる他げの中に詐欺の斧のよう に刀のさやが見える。
座るもの、立っているもの。船りに腰かけ ているもの。
よし、出せ。1人が路言うと 待て待て
まだこ梅が送って見えんじゃないか。不粋 だぞ。
そうか。 を漂わせているとひの浜敷の裏木戸から妻
を取ってしなやかによめえてきた影が白い 手を船へ降って
さえさん 声も美しかった。
地名の中に座り込んでいたサバエ孝太郎が 黙って頷くとおい
を惜しんでやれ 周りの友人たちは彼の手を取ってへ先へ
立たせた お達しでね
騎士に立った女は言った 缶ざ差しであろう
女の髪の辺りに星みたい光が動き、それが 涙のようにも感じられた。
うん。お前も 男の言葉は短かった。
こ太郎はそう言ってすぐロの方へ。おい、 出してくれ。もういいのか?
霧りがない。 船は向こう両獄へ来いで行った。
川の中心まで行くと船りを叩いて誰かが 実ともの
は避け海は汗むとなりとも君に双心我 あめやもの歌を漏洩していた
女の姿はいつまでも騎士に見えていた。 すぐ駒止め橋の下で七名は船を捨て、それ
から半長ほど先のCの木に包まれた下屋敷 の通門まで来ると
では騒え殿太郎 の方へ向かって人々は無意識の列を作り
改まった瞳と態度のうちに 気をつけてそして守備をと別れを述べた。
門前の小松には霊のボタン巻きを暗きに 言いつけたままの黒影が昼のままそこに
繋いであった。 大川へ向いているその通門は越中富山班の
前田出雲神の下屋敷だった。 頼むぞ。
待っておるぞ。を。 途中兵派の回し物に気をつけて参られよう
。 サバエ孝太郎を国表へ送る人たちはこう
激例していた。 すでにの上に移って
ご安心ください。きっとやる。やって みせる。
こ太郎は笑って見せた。 友のものや身の周りのものはもう先へやっ
てあるらしい。ただ1人で彼はその番から 中先へ立っていったのである。
もう2度とはこの大川端の日もと高めは いく度も振り向いて去ったであろう。
ここの船宿の日や女たちの影にも思い出は 数あるらしい。
彼の友達は 2度とこの世では会えないかもしれないの
だ。待って言ってやれと今夜立つ前に別れ の宴を張って小梅という女を呼んでくれた
のであるがそれは普段周囲のものの口の歯 に登っているに過ぎない中で別に言いわし
たのでもないし1夜のちぎりもなかったの である。
今となれば帰ってよかった。こ太郎はそう 思う。しかし寂しい。
俺は死にに行くのだ。 なぜもっと恋もしておかなかったか。青春
の日をいっぱいに楽しんでおかなかったか 。そう思って軽い悔いも起こる。
恋に臆病すぎる。 自分の性格だと彼はその矛盾を認めていた
。 が自分へ対してあんなにまで積極的に愛を
示していた公明どうして自分が臆病であっ たかを考えると
そこに母炎のお筆が思い浮かぶ。 柳橋で磨かれた女のそれよりも彼にはお筆
の成準とある姿の方が多くの魅力であった 。
毎年君であのかや根の門へボタン巻きを もらいに行くことは彼が故障組の前髪でい
た頃からの楽しみであった。 今この江戸猿にも大川端の日には淡い追
しかなかったが、下に考慮している春先の 母園を思うと、彼はもう一度馬の神戸を
巡らしてあのなる子を引こうかと思う。 未練だ。
こ太郎は鞭を打った。うまい。また自分の 心へ。 日三脈はまだ雪がある。
裏日本の海風にれて金属的な光を帯びた雪 で国境は囲まれていた。
あの辺りで子供の頃にはよく魚を釣った なあ。
孝太郎はクレ山の麓元を少し登りかけて 懐かし気に陣痛側を眺めていた。
その姿を見つけておこうじゃないかとそば の百勝に等しい屋敷の横から袖なしの布を
まとった老婆が危なげな足で駆け寄ってき た。
はあえ。 おお、やはりこ太郎じゃったか。家の窓
から兄のさりの心がよいつ 戻った?
半月ほど前なぜすぐにたせぬかいずれ帰国 になるとは噂に聞いていたが、つい用も
ございまして。おお、そうじゃろうとも 老母の目にはまだ実際頃の子供に見える
らしい。兄の嫁も出てくる。路の煙で黒く なった家の中はにわかに春のように見えた
。 兄の子供は4人になっていた。
貧乏は依然として貧乏らしい。 父のった金門集裏の傘だけが投げしに光っ
ていた。 直上な兄は反省のことで反の過労と衝突し
てもう10何年か前に富山城から一里ほど あるこの山へ身を引いてしまったのである
。だが貧乏を苦にしない兄で どうだ?江戸表の方はよじゃないぞ。判定
のご様子だ。江戸組の息はなどと早速聞く 。
万人でもお話申します。うん。とそれきり 聞かない。 夜食になると外からぶらりと帰ってきた
町人が皆と混じって飯を食べていた。 312の遊びに上がりかとも見える肌の男
で苦み走った口元が歪むと糸切り場に被せ てある銀が光る。
江戸の同落者に流行っている風俗を 思い出して孝太郎は前を潜めながらその男
が立った後で何ですかあれは旅のものだよ 。力の神は無増さに
くれの頃だったひどい雪の中をひから超え てきたとかでこし死ぬばかりに生き倒れて
いた。 髪型でちょっとばかりをやっていたと言う
んだな。上気食なんだろう。 ご内のお庭掃除にでも口があるまかという
ので家へ置いてあるのだが、 わしの終戦ではカロ飯田兵を始め兵型の
全てのものから睨まれているので物には ならん。
で、毎日家に出かけては自分で手ずを求め ているらしい。
お前も心がけてやってくれんか? はあ。旅のものですか?
こ太郎は気のない顔つきで言った。 家族たちが寝しまるのを待つもののように
2人だけで老囲んでいる間の話題であった 。 みんな寝たようですな。 うん。もう何を話しても良い。兄上孝太郎は声を潜めた。年は殿のご帰告。そのお、拙者のみ友に漏れて今春の帰国となりましたのは災のあることでございます。 そっちもカロの兵型にそろそろ生されてき
たのだろう。もちろん兵型にとって私たち の存在は耐えず邪魔になって仕方がないに
添いございません。 しかし同士は愛戒しめてキャツに気落とさ
れる口を掴まれぬよう絶えず心を配って いるのでまず今のところでは飯田兵も気を
緩めてはおりますが 実に危ないのは富山6万国のおいそのもの
です。 ではいよいよ兵目が野望の爪を
財布中目に余る仕業です。一例を上げれば 幕府の格労のうちで有力なお方に近づいて
それを象中に丸め込め反抗をのけ物にして 抗義向きの処血一切兵が自由にしておる
など それは10年も前からだ。
花々しいのは本と訴訟中にあるヒ田の国境 の領土を閣と匠み合って富山班の方へ
取り入れ6万国を12万国に上げ同時に オトの出雲の神様をご引居させて自身が左
を抑え また富山全般の失勢になろうという大それ
た野望をも抱いているらしいのです。 もしこれが香の本へ漏れたら1大事です。
審判同士血を流すような大事に至るかも しれず、それによって車色を危うくする
恐れもある。 悪い人物だ。そこの知令の悪人とは兵の
ような人間を言うのだろう。 まだそんな程度には止まりません。
こした悪策を進めるにはどうしても出雲の 神様を暗にしなければなりません。
また江戸表においでになる懸命な奥型様の 還元をも耳に入らぬようにせ物との考え
から 兵は自分が愛していた戦父をどうでしょう
にお勧め申したという有様です。 なお
なんだそれは? 深川のハおりです。ハ織りとは
俗に辰とも呼ばれているものでお部屋様と 名治ってからはお秀様と言わせていますが
深川では秀町と言ってかなり下者だったと いう噂です。
最初は兵の持ち物だったのか。 隠れないことでした。それをにうーん。
読めるな。 それだけでもあのアークローの腹い陰謀の
底が ガタっとふが動いた。
大太郎は振り返ってまだ誰か起きているのでしょうか? いやあ、もう誰も大丈夫ですか?寝蔵の悪いやばかりじゃよ。じることはない。 で、実はと小太郎は先の話題を続け、私たち正義派のものはもう目視していられなくなりました。 関心飯田兵と洋府のお秀の方を切って反省
一角の実を上げる他ないと密かに決めた 次第です。
うん。うん。なるほど。 誰か反のために彼らを切り除いて笑って
死ぬものはないか。 この人線となって一度は9時でということ
だったのですが、私が進んでその役目を 引き受けました。え、そっちが
はい。 確信があったからです。
天の与えというものでしょう。ちょうど それより前にそうです。観光がご帰国の
折りに私に1つのご用を応せ残され、その ために私はお共に加わらずに今年になって
帰る都合となったのでほ、そのご用とは くれに切るボタンの薪を例年のように今年
も恋受けてお国元まで自賛するためで ございました。 ボタンの巻きが何になるのか。そんな言葉
だけでもこの北国では聞いたこともないの である。
力の心には分からなかった。 春バる江戸表からそれを措置が持ってきた
のか。はい。すでに範囲へお渡し申しまし た。
何にするのだ、一体そんなものを。 茶ジにお持ちなされます。茶の会にされば
です。 340年以上経ったボタンの枯を炊きます
と匂い、炎の色、牡蠣、それぞれに木を 炊くような特色があり、煙というものが他
の雑木のごとくあまり立たず、また目に 染みません。
そうかな。 で、チャジの風呂の下に持ちいますと、見
た目にも山がめいて炎はうるわしく、など よりも一段と風流めきます故え。作道の
胡書などにはそのが見えておるよしですが 、
ついボタン巻きなどというものは手に入り がいように考えられるものでしょう。
あまり気づくものもございませぬ。 観光の茶ジにご熱心なことはもうお古い
ことだがようそれまでおめなされたなあ。 いやとこ太郎は強く手を振って
それは反抗の恵ではありません。 羽織り上がりのお秀の方が教えたらしいの
です。 おかしいではないか。無知な女がそんな
風流を湧きまえているなどとは どこか他のオル水の客席ででも見たの
でしょう。 トコの風俗ではもう食物の贅沢、不審の
贅沢、器者の贅沢そういったおりは誰も 会えているし行き詰まっておりますので、
初代名の留水集などが幕府の役人などを モてなすにも目新しい共演の手がなくなっ
ていると言われておりますから。 どこでそんなことを知ったかは存じません
が、とにかく 泉の神様がお客を招いて解析の後で
ボタン巻きを炊いて風呂釜の家を立て茶を ご馳なされることを毎年の例に遊ばしなさ
れたのはお秀の方がそばめになったその春 からのことでございました。
うーん。そうか。 以来毎年その巻を母園にもらいに行く役目
は拙車と決まっておりまして、 チャジのお客招招きの売りには円端へ
差し控えております。 ああ、それで分かった。お前はその機会を
掴んで待望を遂げようというのだな。 これほど良い折りはあります。
飯田表部もお秀の方も毎年その席につり ます故え。だが今年は
お客は本の重心型と日大所の天領役他の ご城内のご射程ご市販たち
わしは止めない。止めたところでそこまで 江戸組の人たちと結束のできてしまった
ことを 止めくださいますが
意思を持って半袖以来の五音法事と覚悟し ている私です。
だがどうだろうなあ。 自信があります。たえその席に何人いよう
と。 お前のことだ。そりゃやるだろう。しかし
わしが不安とするのはその場のことじゃ ない。
その後の反省がだ。お前らの考えてるよう に明るくなるかなあ。
悪人派の目飯田兵と殿を読参ている洋父 さえ打てば
結果のことは人間には分からぬことだ。を 信じたらやってみるが良い。だがの弟
やり損じてもやり遂げても早って死ぬな。 あくまで結果を見届けるのがご方向である
ぞ。 はい。
力の心は台所へ酒を取りに立った。別っぱ を組もうというつもりらしい。 その他にみしミシっと足音を盗んでふの影
から奥の寝床へ戻っていった宿かりの旅の ものの足音は兄弟とも気づかなかった。 シーンとした夜中から明け方までを酒を
冷たくして飲んでは涙を吹いている兄と弟 だった。
世が調んで老母と兄嫁が起き出た頃には もうこ太郎はその家にいなかった。 2着ほどずつに切って着口を揃え
の中へボタンの巻は入れてあった。 山作りの茶屋なので、わざとすぼけた自在
鍵が黒い天井から吊り下げてある。 それにかけてあるカの湯は初みのようにか
に泣いていた。 ここは城内でなかった。
い立川ご門の飯田兵の屋敷なのである。 社会は城内のお好きという予定であったの
がなぜか急に変更になったのであった。 で、阪種の出雲の神は兵の過労屋敷へ
そっと渡られた。 チャジなので物々しいことはない。お秀の
方ももちろん来ていた。 しまったと当日になってから知って慌てた
のはサバエ孝太郎でかずかれたかな? 神辺を警戒していたがそういう気りもない
。 かってカローの兵自身こそこのところ非常
に自分を警戒しているらしく伺われる。 彼の陰謀が本番に薄く漏れて世論の起こり
そうな気兆しがある。道場もなるべく控え ている風だし、それも表方なら彼の道類が
いつも周囲にいるので安心できるが、 奥まった本丸の茶室などは薄気味が悪いの
だろう。 そういう年入りな用人から口を設けて殿を
自宅へ迎えたと見る方が確実のようだった 。
それはいいが、こ太郎には殿に固住して いく沙汰がなかった。
出雲の神の神は完全に兵派のもので囲まれ ていった。 酔いの頃、孝太郎
は城から下がった。 毛病を使って役目を抜けてきたのである。
戦国長の我が家へ帰るとすっかり身軽に 支度を改めた。
門を出ると黒い布をタ元から出して顔を 包む。
田元にはまだ川きが秘めてあるのだ。 懐していく様は何気ない弱きの人としか
見えない。 イ立ち側には春の星が鈍く映っている。
いつの間にか3月も末だ。 北国の春はようやく目を覚ましている。
美風はぬるく瓶を撫で、柳はヨ々と夜も緑 の匂いを思わす。
さエ孝太郎の体を流れる血の中にも今の 季節というものが激しく影響している。
俺はこの一刻の存分を救うのだ。 一歩一歩に若い脈白は精子の観念を超えて
いった。 密集している明りが見えた。
い立川ご門外の過労屋敷の門である。 今し方出雲の神は渡られたらしい。
春バる本から招かれたものやその他の客 たちの嫌雷で友倒している。 こ太郎は遠くからそれを見つけて裏門の方
へ回っていく。 ここには兵型の晩子が処々に立っていた。
警界の配置はかなり緻密らしく見える。 その厳重な紋章を仰ぐとこ太郎は初めて
生きて帰れないという痛感にぎゅっと胸を 締めつけられ、今夜限りと思う夜が改めて
見舞された。 5人1組の見回りの余番が物影にいる彼の
前を通って曲がっていった。 今だとこ太郎は胸で叫んだ。
兵の下へ立ち寄ると鍵のついている細い 朝紐を投げて兵の峰へ引っ掛けた。すると
後ろで足音がした。小影を出てきた人影が 見え真っ暗に自分の方へ走ってくるので
ある。行けないと思った。見つかった。 どうする?とっさに刀の塚を握った。
太郎様とその影は胸へ向かってめえてきた 。こ太郎は肘を払って浴びせかけようとし
た刀を危うく抑えてや誰だ思わず言った。 なぜならばいきなり自分の胸へしがみつい
てきたものは図金をかぶった女であった。 私です。こ太郎様、私でございます。
女は泣き震えるのだった。こ太郎は女の 巾キを掴んでむり取った。は
愕然と叫んだ蹴り。彼も骨から見いして しまった。
あなたは江戸の母タ園のお筆です。 とどうしてこんな国へは頂いたお金を路用に当ててあれからすぐにお跡をしってきたのでした。って 涙ばかりが先なのだ。 一言
一言何を こ太郎はよと泣くだけで胸から離れないお
筆の重さを感じながら 一目につく一目にと小声で叫んだ。そして
彼女を抱いたままずるズると兵の下から 往来の彼たの小影へ移っていく。
おかげに入ると彼女はなお甘いおつを こ太郎の胸にすりつけた。
太郎はうろえた乱れた心のうちでもし兵型 のものに見つかってはと思いまた今のうち
に定内へ忍び込まなければ時をいして しまうと考えてお筆を突きのけてしまおう
かといく度も身がういたがこれきりこの世 では会えないものをと死と死母と思うと
帰って皮死とその泣き濡れている姿を 抱きしめてしまうのだった。 早く訳けを申され、どうして過用な援獄へ
ただ1人で参ったのか。それとも誰か連れ があってか
いえ 。
資材は ただ泣いていては分からぬ。言いなさい。
の前に大事を持って急いでる今夜者 はこうしていられない身なのだ。 勢い孝太郎の動きは普段のようではない。
お父はただ一言の真実をこの胸へ言おうと してあのまま江戸から恐ろしい思いを超え
てきたのであったが それがどうしても口に出なかった。
大太郎にもそれまでの順と一に彼女が走っ てきたなどとは想像もできないのである
と不にお ちくしょ
獣みた声なのだ。そしてどこからかけてき た足音が2人の後ろで止まったと思うと
そこの暗がりで埋めくように肩で息を会い でいる男があった。
そうだ。やっぱりそうだった。6米の ところへ毎年ボタン巻きをもらいに来る侍
だな。 その人影を見るとお筆はしたようにこ太郎
のせい隠れた。 痩せた旅姿の若い長人である。闇の中から
そう呟いている目は狂犬のように光ってい た。
こ太郎はいよいよかって 何者だお前は?すると男は噛みつくように
歯を見せて叫んだ。 わしは三定というものだが知る前
そこにいるお筆の夫だ。嘘です。では こ太郎の後ろから声を走らせて夫だなんて
いつそんな約束をしましたか?江戸の家 から近いおがの味噌屋の弟さんなんです。
こ太郎様助けてください。その人は気が変 になっているのかもしれません。江戸から
の旅の間も私を付け回してきた人なんです 。
船定 はめき返した。よいよくも言ったな。音知
知らず人手なし。そうだ。恩も情けも知ら ないやはちしだ。
その人なしをなぜ追い回すのですか?さて さん。いい加減に呪わないでください。他
の女の人を女将さんに持ってください。 頼みますから。うるさい。やっと今夜てめ
の本心がこれではっきり分かった。 俺はこのまま指を加え引っ込みはしないぞ
。 三定はまたこ太郎の方をじっと眠めつけて
。お侍 おめえも覚えていろ。よくもわしの女を
奪ったな。 黙れ。いつ拙車が人の女をお筆はお前の女
か。 聞かせてやろう。俺はお筆の父親の口を
助けてやるために実家の金を持ち出して 感動まで受けているのだ。それを侍だから
と言って横取りしていいものか。 わしも男だ。意地があるぞ。これから反の
お役所へ駆け込んで訴えてやるからそう 思え。
ステルと3定の影は不に抜かれ前ものでも ない相手の刃を恐れるように後ろへ飛びて
くるりと身を巡らせどこかへ向こう水に かけ去ってしまった。 今夜を置いては機械はない。その機械は
こうしてる間にコ々クと過ぎていく。 サエ孝太郎はもう猶予してはいられなかっ
た。 お筆、これ切りだぞ。突き離すと、お筆は
怒りと受け取ってわっと無びをあげた。 違います。思い違いをしないでください。
三点さんとは何も深いわけがあるのでは ございません。そんなこと。
太郎は真立つに割れかかっている自分の心 をじっと噛しめて
どうでもいい。そんなことは今夜の拙車に はどうでもいいことだ。今の拙車には侍と
して死んで生きる道があるだけだ。いえ、 話します。聞いてください。詳しいことを
。そして最後の私の一言を。 そんな糸間は持たぬ。話せ。もしこの木を
外したらわしは侍の中の物いになる。家臣 を恥ずかしめ兄に合わす顔もない。
待ってください。 彼女は視力ですがりついた。
ようやく言えそうな気してきた。 小太郎様。
もう一度その人の胸へ泣き濡れた顔をうめ た。
火のような顔だった。 荒海を包んでいるような心臓だった。
私は 乾いた声が震えてしまう。しかし死を消し
ているサバエ孝太郎の覚悟よりも強い懸命 がこっていた。
毎年ないで自分の胸にだけひましたが 何を好きだったのです?え、あなた様が他の奥様を持ってもどうか覚えておいてくださいまし。不便だと思って胸の底にお筆という女を忘れないでください。 私にはたった1人の父があります。その父
はあのボタン円を捨てられない人ですし、 私はあの寂しい父をどうしても捨てるわけ
にはいきません。 また帰らなければなりません。
男の胸に顔を当てたまま肩で会いでいる うちにお筆は不思議なほどスラスラとこう
言えてきた。 母に物を言っているような甘い涙が頬を
下って病まなかった。 好きだったのです。
覚えていてくださいね。毎年毎年どんなに あなた様がボタン巻きを取りにおいでに
なる日がマジ同しくて楽しみだったかしれ ません
けれどもそれも サバエ孝太郎は自分の秘めている心をお筆
が変わっていっているような気して聞いて いた。
何者もなくなって彼女の低い声に心を取ら れていた。
ふと死から遠い自分へ立ち戻っていた。 クレ山の家で兄の力の心が言った言葉が
思い出されていた。 兄は
もうことここへ来ては止めはしないがお前 が一死を投げ打った後で果たして反省が
よく立ち直うるだろうか。さあどうだろう な。と言った。
その疑いがふと高太郎の頭へ登ってくる。 そして犬じにだったら何の意義もないよう
に思われた。 侍の名に行けるのも人間。恋に行けるのも
人間。 彼は迷わずにいられなかった。
彼女の順調に寄り動かされるものよりは、 むしろ自分の胸に長く肺を被せておいた日
が不に燃え狂ってきたことに悩んだ。 すると
確かに飯田兵の過労屋敷のうちらしいのだ 。何事か大きな物音がした。人生だった
ようでもある。吹き抜けていった一人の風 みたいに暗い奥の胸をかめてそれが夜空へ
消えた。 あ、
こ太郎は今の我から元の我へ帰った。 侍の地がすぐ反動して5体を熱くした。
一瞬前の自分が魔物に疲れた深者のように 見え、お筆の白い襟り元をその魔物のよう
に見ながら飛びた。 同時に彼は物音の下ろい屋敷の方へもう
真っぐらになろうとする強い瞳目を向けた が、その目に思わぬものが赤く映った。
白い兵のうちに炭のように沈んでいる広大 な奥の胸の奥まった一部にポーっと炎の色
が差している。 その辺りの木々の小も夜空に鮮やかに光っ
て見える。 おお、ボタン焚き火。 路で炊いている炎にしてはや光が大きくも思われたが、孝太郎はてっきりそれと思い恋のうちこそ自分の精子をけるゴの場所であるという信念をとっさに持ち返した。 お筆殿
と一声後ろへ投げた。 そなたの言葉を抱いて死のう。
何を隠そう?拙者はこれから死にに行くの だ。
隠も覚えていてくれよ。 エ孝太郎も他念ボタン園の成純な1人の
女性を実は 心のうちで愛していたことを
こ太郎様 さば
駆け出した後ろ姿へ 嬉しございます忘れません
嬉しくござい 叫ぶ間に兵の下へかけ寄った影はそこへ
かけておいた鍵縄にすがってするっと 跳ね上がったと思うともう空にも下にも姿
が見えなかった。 嬉しいございます。
嬉しいございます。 太郎の超えていった兵の下にうつぶしてお
では泣いていた。 そのまま地の中へ沈み込んでしまいそうに
甘いおつと必な結びをしゃくり上げていた 。
そうしてうつにいるうちに彼女のうつぶし ている大地の前面が釜のようになり出した
。どこからか凄まじい音響が伝わってくる のだった。
地かと思えばそれは空をかける雲の叫びの ようでもある。お、はっと顔あげると
さっきからの炎の色はもう何十倍にも 広がってカう屋敷の内部だけではない。
往来も付近の波きもい立ち側の水も皆先行 を帯びて闇から形を表していた。 窓馬にざっと砂煙がお筆の顔を吹き殴った
。 もう彼女のすぐ後ろを白い刃や槍を
引っ下げた人々が魚王さをして駆け乱れて いた。
何かわめきの知りながら一段の侍たちが兵 の角を曲がるとすぐ彼女は兵にすがって
立ちかけた。 笑笑とキノコがこぼれてくる。内で火災が
起こったにはそういないがただの荷家とは 思われない。またただごの騒ぎとも思われ
ない。 その騒ぎを高太郎が起こしたにしては
あまりに彼が兵を超えて中に入っていった のと同時であった。
兵にすがって立つには立ったがお筆では 歩けなかった。
足が硬くなってガクガクと震えて大地から 持ち上がらない。
忘れません。私は私は あなたも私の言葉を。
もうあの人は死んだかもしれないと思う。 炎を見て入っていったのだから。
彼女にはバラバラと身の周りに落ちてくる 炎がだんだん美しく見えてくるらしかった
。 じっとそのまま立っていて自分も炎に包ま
れてしまいたいように泣き晴れた目がうっ と乾いていた。
すると兵の上でバサっと木の小が大きく 揺れ動いた。彼女の立っているところから
7ばかり先の大地へ途端に黒髪を持って いる丸いものが空から放り投げられて
ゴロゴロと転がった。 キャッという叫びも出ない驚きと恐怖が
心臓を焼き金で突き抜くように走った。 女の首だった。 とお城いで美しく化粧している顔に黒髪が
巻きついて とすぐ落とした絵を覆う柱みたいに1人の
町人が空からポンと飛び降りてその首の上 へ胸を当てた。 場内の鬼掃除にでも住み込みたいと言って
くれ山のサ野心の家から毎日町へ来ては 手ずを求めていたあの旅の庭氏という男
だった。 手ぬいで顔を包み、脇差しの塚も合わせの
タも血で染まっていた。飛び降りてその まま やしばらく胸と大地の間に女の首を隠して
前後を見回していたが、こっちへかけて くる足音もないと思うと手早く顔の手ぬい
を解いて首を包んだ。 それを左の多元に巻き抱えてさっと
走りかけたが、お筆の姿に気づいてぎくっ としたらしく足をすめた。
お筆は瞳を据えて旅の庭の方へ震える足の 先を少しずつつ先で血を噛むように進めて
くるのだった。 庭氏の男も彼女の白い顔へ目を大きく吸え
たまま何かの幻しにでも迫られたように 後ろへ後ろへかとで下がった。
突然お筆は発狂したようにちみろな庭氏の 体へ飛びついていって無りついたに
兄さんだお前はあ か
兄さん 行けね。振り向いてちくしょ来やがった。
夕間に2人の侍が庭氏の男に組みついてき た。飯田兵の嫌雷だった。庭氏は抱えてい
た首を放って相当必死にかかった。 彼が1人の侍の曲げを掴むと侍も彼の曲げ
を掴んでぐるぐる回った。晴れの足源に かけられて、もう1人の方は青向けに転ん
でいた。 ここだ。く物はここにいた。おい、来い。
怒鳴りながらその侍が起き上がろうとした 時である。
もう炎に燃え破れてきた兵のうから果家人 を浴びて駆け戻ってきたサバエ孝太郎。
ものも言わず後ろから兵型の1人を切った 。父代に驚いてもう1人が向き直ると
こ太郎の早い刃は途端に魔を測ってその面 から胸源へ切り下げていった。
その隙にの男はお筆の手を引っ張ったが、 お筆が従わないので地へ突き飲めるように
逃げ出していた。 ほ太郎はそこに落ちている女の首を
拾い上げた。そして黒髪に燃えつきそうな 赤い熱風へそれをかざしてじっと見つめた
。 おお、お秀の方だ。お秀の方にそういない
。このサバエ孝太郎の先起こしてお家を 毒す洋服を切ったものは首を投げ捨てて
おいそこへ行く町人おは誰だ?叫んだが 庭氏の影はもう煙の彼へ遠くなっていた。
兄さんです。兄さん。 お筆も共に読んでいた。太郎は彼女の姿に
気づくと急いで刀をさヤに収め、おふぜと その前へしゃがんで背中を向けた。さあ、
行こう。いや、お前の行く道の方へ俺が 連れて行ってもらうのだ。俺は行く道を
失った。 日の目時の奈良の鳥の根と名やかなのを抱いていた。この暮れ早山の奥沢から山をっていけば声越へ出られるかもしれないのである。へ出れば江戸へも道は続いている。のある国々こへでもじている。 逃げようか、ここで死のうか。
2人は迷い歩いていた。 2日2番をこの山の中に。
お筆は死のうという だが、お筆の身の上を聞けば父の6米の
悲しみが思いやられる。 また自分としても反の同士に対してその
職望を裏切って女と信じたと笑われては 死にましょう。死んでください。
お筆は繰り返してむ。 ふと
死のうかと彼も思う だが抱いてみては
武士が 彼の地は苦しむのだった。
何を今更になって 彼はまた自分の矛盾をあわらった。
同士たちの期待はもう昨いの番不確にも 裏切っているのだ。
明らかに自分はあの際大事の木を掴み損ね ているのではないか。
炎の光を見て兵を超えボタン焚き火の着の 席へ近づごうとした時はすでにそこには
四角の混乱が起こっていたのである。 何者かが自分より先に忍び込んでいてお秀
の方の命を奪いき敏にも逃げ去っていたの だった。
この山へお筆を連れて逃れてきて後、 だんだん聞けば
お秀の方を殺したあの男は久しい前に ボタン園から家出したお筆の兄の従像で
あるという。 わかりました。兄さんの家での原因が
深川で馴染んでいた秀町という羽織り州が 今のお秀の方なのでございましょう。
兄さんは栄養に目が自分を捨てた白上ない知らせてやったのです。その何年もタへ帰らず女をけ狙っていたに違いません。お筆の解釈は間違ってないだろうと太郎も頷いた。 教持ちとなった十像はあのままもう江戸へ
も変える前悪くすれば自外しているかも しれない。
それやこれやを思うにつけてこ太郎はおで は江戸へ返してやりたいと思い悩む。
ここで愛抱いて死のうとする2人の愛を もう1歩知り添いて男は考えるのだった。
しかし、お筆はもう父のことも考えなかっ た。いや、思い出してもそれ以上強いもの
に全く囚われていた。 死にましょう。今日は
美しい死神は絶えずさく。 として何の物音もこの山懐では聞こえない
。 崖には赤い木の実が見えた。
乾いたこの葉を下に敷いて2人は 向かい合いに座った。
2日2番の間水しか飲んでいなかった。 それでも心だけはさえ切っていた。
本当に嬉しいんです、私。 ポロポロと涙をこぼしながらお筆は言った
。 すまない。
こ太郎が言うとなぜ。 でも
もう身くして刃物まで手に抜いていながら 、やはり彼と彼女との間には考えることが
違っていた。 女性と男性とだけ違っていた。
全ての人たちに対してすまない。 同士にもわしの兄にもまた隠の父にも
あの世からお詫びいたしましょう。 お筆は白い喉をあげてさしてとに示した。
白い皮膚に走っている彼女の血管があまり にも青く見えてこ太郎は気が鈍った。
もう彼女は泣いていない。春の雲を見 ながら甘やかな夢を見ているのだ。
そうだ。 この幸福感を持続させてやろう。
良いか。 襟り元を軽く掴むと、え、かかに答えた。
岩でも転び落ちてきたようにその時崖の上 から1人の男がわ何をする?
いきなり孝太郎の腕へぶつかってきて 無りついた。行けない。2人とも死んじゃ
いけない。わしが殺さぬ。三定だった。 必死に止めながら
おい、竜ぞさん、ここにいた。ここにいた よ。
大声で呼び立てると2人の人影が彼の沢に 見えた。
お筆の兄十像とこ太郎の兄の力の心だった 。
バカ。 手をついている弟を見て力の心は一括した
。 これを言ったのだ。わしは。これをいつか
言ったのだ。注義をするならなぜ注儀の 限り中義をしない。他に生きるならなぜ
それへ一生きずに生きて行かないのか。 富山の五条家は急の後ほど焼けただけだ。
昨日本番のおし者がお一風を連れてきて カローの飯田兵部は有平になったそうだが
それはお前の力でなったのではなかった。 そしての挙げくここでつまらぬ死に方を
しようとはなんたる不心へ。 恋も良い真獣も良いだが
大主を指してするならば仕方があろうぞ。 こうしっても目は涙でいっぱいだった。
三定はついと立ってみんなにお辞儀をした 。
これで安心しました。あなた方が来てくれ さえすればもう私も安心していい。
なんだかこう今日の春の雲みたいにわしは ふんわりと気が軽くなった。
力の心 様と存さんよくお話ししておいたように今では私の気持ちもらりと変わりましたからこれからどこも暗くなくギャに出ます。はい。少様の真似をして俳句を作って一生が外歩こうと思うんです。 そう言ってこ太郎とお筆の2人へも気軽に
頭を下げた。 では
今も兄さんの言ったように本当に行き続け てくださいよ。
私とお2人とどっちが楽しく生き通すか命 のコンをしようじゃありませんか。
本当に私はもう何も胸にありません。 いい俳句の1つも残そうという他にはね。
それでは皆様一足お先に 三定はそう言うとスタと沢の方へ足早に
降りていった。 違うなあ。
竜像はしげしげとその後ろ姿を見送って 裏山しげについた。
つまらねえ男だと思っていたが、俳育の1 つも普段にやっていると、やはりどこかで
違うものだなあ。 そしてすぐ力の市へ向かって、旦那、
足も早速五条家のお役所へ連れて行って ください。自主します。
そうすりゃお世話になったあなたにも こ太郎様にも何の関わりもござ済まえ。
ただ 親父と妹
これはこ太郎様にだが何分お頼み申します ぜ。 ボタンが咲く、
ボタンが崩れる。 追い木を切っては若い目が植えられていく
。 津のボタン園ではその後も毎年1月になる
と必ず一束のボタン巻きを大川端の前田 出雲の屋敷へ送り届けた。
その時には庭先へ回って母炎の若夫婦は 大主からいつも親しい言葉と逆月きと
賜わった。 安定のものの噂では自主した十像は罪に
ならなかったが、そのまま富山のお庭へ 住み込んで
江戸は嫌だ。ろな女はいねえとか言って いるという話。
三定からはこの春四国の暗崎先から塔 ばかりだけを描いた頼りがボタン園へ2人
名前で届いていた。 そのうちの一区に
雲思い に春を楽しめる
などという雲も見えた。

【作品紹介】
吉川英治氏が44歳の時執筆。
江戸葛飾在の牡丹園の親子、六兵衛とお筆。そこへ牡丹薪を貰いにくる若い武士に、お筆は恋をする。もう会えないと分かった時、お筆は武士を追いかけ一世一代の告白をする‥。結末までお聴きくださいね、幸せな気持ちになります。

初出/「週刊朝日」昭和11年7月

★もし漢字の読み間違い等が見つかりました時は、私からすぐ概要欄にてご報告いたします。😊

★聴いてくださり、心より感謝申し上げます。ありがとうございます!

★主な登場人物
六兵衛(俳号=碌瓶)・・・元武士だが、今は牡丹園の経営者で俳句作りを楽しんでいる。

お筆・・・六兵衛の娘で、牡丹園で働く。

重蔵・・・お筆の兄で、秀蝶という芸者を追って4〜5年前に家出した。

秀蝶・・・深川の羽織芸者→飯田兵部の女だったが、前田出雲守の側室・お秀となっている。

傘亭(=俳号)・・・牡丹園の近くの味噌屋の次男で、六兵衛の俳句仲間。お筆に恋焦がれ婿になりたがっている。

鯖江洪太郎・・・富山の前田出雲守家臣で、毎年牡丹園に牡丹薪を貰いに来る。

鯖江力之進・・・洪太郎の兄。

前田出雲守・・・越中富山藩、藩主。

飯田兵部・・・前田出雲守の家老で、出雲守を退け自分が執政になろうと目論む。

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