マリウス葉「わからないから怖いという壁を越えたい」 スペインの大学で多様性のなかで学んで感じたこと

スペインの大学という他文化が日常として 交差する環境で学んだマリウス洋さんの 時間は単なる留学経験や学歴という言葉で は収まりきらない深い内性と他者理解の 連続だった。上期から芸能界という特殊な 世界に身を置き、早くから社会の表部隊に 立ってきた彼があえてその場所を離れ、 異国の地で学ぶ道を選んだ背景には自分 自身をもう1度見つめ直したいという強い 思いがあったという。11歳でアイドル グループの一員として活動を始めた彼は 多くの人に知られる存在である一方、年齢 に見合わない期待や役割を背負い続けてき た。2020年に活動を休止した後、進学 という選択肢を通して社会とは何か人は なぜ分かり合えないのかという問いに学問 として向き合おうとした。のサマー スクールやハーバード大学のプログラムへ の参加など国際的な教育環境に身を置いた 経験はあったものの、スペインの大学での 日々はそれまでとは室の異なる学びを もたらした。彼が返入したのは哲学、政治 、法律、経済学を横断的に学ぶTTLE コースだった。答えが1つに定まらない問 を扱い、価値観や前提が異なる人々と議論 を重ねるこの分野は彼にとってまさに人間 そのものを理解するための入り口だったと いう。教室には南米、中東、アフリカ、 中央アジアなどこれまで接点のなかった 地域から来た学生が集まり、それぞれが 異なる歴史や社会背景をしっていた。学生 同士の交流は抗義の中だけにとまらなかっ た。週末の集まりでは各自がルーツを持つ 国の料理を持ち寄り食卓を囲みながら家族 の話や祖国の現状を語り合った。ニュース では数行で片付けられてしまうような国の 出来事が目の前にいる友人の人生と直結し ていることを知るたびに世界が急に近づい たように感じられたという。経済成長の 途上にある国の若者たちが語る未来への 希望や層は日本で育った彼にとって新鮮で 同時に自分自身の視野の狭さを痛感させる ものでもあった。特に印象に残っているの はパレスチナ人とイスラエル人の友人が 同じクラスにいたことだ。23年にガザ 地区で戦闘が激化した際、彼は当事者とし て苦しむ友人たちを目の前にし、歴史や 政治を知識として学ぶことと人の痛みに 向き合うことの違いを強く意識した。彼ら はそれぞれ家族や親族から受け継いだ記憶 や感情を抱えながら生きており、単純な 善悪や立場の違いでは語れない複雑さを 内放していた。戦争は遠い国の出来事では なく、同じ教室で笑い合っていた友人の 現実そのものになる。その事実は彼にどう 接するべきか、自分は何を語れるのかと いう思いを突きつけた。軽がしく意見を 述べることも沈黙することもどちらも簡単 ではなかったという。ただ1つ確かだった のは相手の背景を理解しようとする姿勢 なしにどんな言葉も意味を持たないという ことだった。クラスメートの中には家族が 軍に所属している人もいれば長い年月を 難民として過ごしてきた人もいた。国家や 制度の話が突然生き延びるための選択と いう個人的な物語に変わる瞬間を彼は何度 も目撃した。日本の大学に通っていた頃に は想像もしなかった人生の重みが日常会話 の中に自然と存在していたことは彼の価値 観を大きく揺さぶった。そうした経験を 通して彼がたどり着いたのは人を理解する ためにはまず自分の中にある潜入感を疑う 必要があるという考えだった。国籍や宗教 、歴史的背景からこの人はこう考えるはず だと無意識に当てはめてしまう枠組を1度 全て手放す。その上で目の前の個人の声に 耳を傾けること。簡単なようでいて実は 最も難しい姿勢だと彼は感じている。また Z世代と呼ばれる同世代の友人たちとの 対話を通して価値観の多性にも気づかされ た。あるテーマではリベラルな意見を持ち ながら別のテーマでは星的な考えを示す。 その揺らぎこそが現代の特徴であり、 もはや右か左かという2日行対率では人を 理解できない時代に入っているのだと実感 したという。政治的な話題を避けがちな 日本社会との違いを感じつつ知らないこと を恐れるのではなく知ろうとする姿勢の 重要性を強く意識するようになった。彼の 関心は次第に社会の中で声を上げにくい 人々へと向かっていった。経済的に不安定 な家庭で育つ子供、仕事を失った人、異国 で生活基盤を図こうとする移民たち。 さらに自身が心身の不調によって芸能活動 を吸止した経験からメンタルヘルスの問題 にも強い関心を抱いている。特に日本社会 における我慢や耐えることが美得とされる 風潮に疑問を持ち意識の変化が必要だと 感じているという。生きることは辛いもの だという考えが半ば当然のように共有され ている社会で本当にそれが唯一のあり方な のか人がそれぞれ抱えている物語を無視し 方にはめることで成り立つ社会が果たして 健全なのか彼はそうした問お学問だけで なく自分自身の経験を通して考え続けて いる他者に優しくありたいという思いの 根底には常に自分との対話があると彼は 語る。なぜ自分はこの選択をしたのか? なぜこの社会構造が生まれたのか?問いを 投げかけ答えを急がずに考え続けること。 その積み重ねが自分自身への理解につがり 、引いては他人への観さを育てるのだと 感じている。自分に厳しすぎれば他人にも 同じ厳しさを向けてしまう。だからこそ まず自分自身に優しくあることが大切だと いう。現在の彼はあえて明確な肩書きを 持たず次のステップを模索している。芸能 界を引退し、学業を終えた今どの道に進む かはまだ定まっていない。しかしこれまで の経験を通して培った聞く力と考え続ける 姿勢はどんな分野に進んでも彼の核となる だろう。1人1人が当たり前だと思って いる前提を少しずつ見直すことで社会は 確実に変わっていく。その変化は劇的では ないかもしれないが確かなものだと彼は 信じている。多様な人々と出会い、衝突し 、理解しようと試みたスペインでの日々は マリウス要さんにとって世界を見る目を 更新し続ける原点となっている。

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