【写真展案内】中村征夫 写真展「五色沼湖沼群」
OM SYSTEM GALLERYにて開催の写真展「五色沼湖沼群」について、作者である中村征夫さんにお話しいただきました。
写真展web site:https://note.com/omsystem_plaza/n/na39f60cee145
00:00 ご挨拶
00:21 「五色沼湖沼群」について
01:27 五色沼の色について
02:28 撮影の経緯
03:06 水中での撮影について
03:39 五色沼の景観
05:08 開催中のイベントについて
■期間
2025年5月8日(木)~ 5月19日(月)10:00 〜 18:00 最終日 15:00 まで
入場無料 ※休館日5月13日(火)・14日(水)
■トークイベント
ギャラリートーク(予約不要・観覧無料)
5月10日(土)、11日(日)、17日(土)、18日(日)
11:00〜/15:00〜 各回約30分ほど(ギャラリー内回遊式)
※5月10日(土)15:00~のみ収録のため座席あり
■写真展案内
福島県のほぼ中央にそびえる磐梯山(標高1816メートル)は、1888年7月15日、水蒸気爆発を起こした。この爆発で小磐梯山北側の山体が崩壊し、大量の岩石がなだれとなって斜面を流れ落ち麓を埋め尽くした。北麗の3村が埋没し多くの村民たちが犠牲になったと言われている。崩れた岩石はあちこちで川をせき止め、大小300もの湖や沼が誕生した。その中の30個ほどの沼を総称し五色沼湖沼群と呼んでいる。
不思議なことにその中のいくつかの沼が、季節や天候、時間帯により色の変化を見せるようになった。エメラルドグリーン、コバルトブルー、ターコイズブルー、エメラルドブルーのほか、酸化鉄などの粒子が光を反射することで赤く見える沼もある。
磐梯朝日国立公園に指定されている五色沼には、年間12万人もの観光客が訪れている。探勝路をのんびり散策するだけでも充分沼の魅力を堪能できるが、私は水中の様子が気になって仕方なかった。そこで今から37年前、環境庁(当時)と北塩原村に取材許可を求めたところ、幸運にも水中撮影が認められたのだった。以降スキンダイビングにより柳沼、青沼、瑠璃沼、弁天沼、竜沼、みどろ沼、赤沼、毘沙門沼と、探勝路からのぞむ沼の素顔を撮影してきた。
水中には火山性の特殊な物質が多く含まれており、水質は強酸性の沼がほとんどだ。生き物にとっては厳しい環境だが、植物のフサモやウカミカマゴケなどは、中性の水よりも酸性の水の方が光合成しやすく、その成長ぶりは著しいと言われている。まるで畝のように広がる瑠璃沼のウカミカマゴケは圧巻だった。その畝の合間には火山性の物質ケイ酸アルミニウムが漂い、雲海に迷い込んだような気分に包まれた。また、ウカミカマゴケが枯れかけている沼の底付近からは、硫化水素の匂いを感じ慌ててその場を去ったことも何度かあった。
磐梯山噴火後、今日まで137年もの間誰に見られることもなかった神秘の水中世界。個々の沼が悠久の時を刻み、個性豊かな景観を作りあげてきた。これまで見たこともない美しさと繊細さ、そして圧倒的な迫力。それらの姿からは、今も活動を続ける磐梯山のエネルギーさえも感じ取れたような気がした。恐ろしいまでの静謐な中、なお変化し続ける沼の景観に畏怖の念を抱きながらシャッターを切った。
中村征夫
■作家プロフィール
中村 征夫 Ikuo Nakamura
1945年秋田県出身。19歳のとき神奈川県真鶴岬で水中写真を独学で始める。撮影プロダクションを経て31歳でフリーランスとなる。1977年東京湾の取材をスタートし、ライフワークとして現在も進行中。数々の報道の現場の経験を生かし、新聞、テレビ、ラジオ、講演会とさまざまなメディアを通して海の魅力や海をめぐる人々の営みを伝えている。
主な著書と写真集
ノンフィクション『全・東京湾』 写真集『海中顔面博覧会』(情報センター出版局) 『カムイの海』(朝日新聞社) 『熱帯夜』(小学館) 『海中2万7000時間の旅』(講談社) 『遙かなるグルクン』(日経ナショナルジオグラフィック社) 『海への旅』 『永遠の海』 『海中顔面大博覧会』(クレヴィス)など多数。
受賞歴
1988年 第13回木村伊兵衛写真賞
1994年 第9回文化庁芸術作品賞
1994年 通産省ビデオ部門映像特別賞
1996年 第12回東川写真賞特別賞
1996年 日本産業文化映像祭グランプリ
1997年 第28回講談社出版文化賞写真賞
2007年 日本写真協会年度賞
2007年 第26回土門拳賞
■会場
OM SYSTEM GALLERY(旧 オリンパスギャラリー東京)
●営業時間
10:00~18:00
火曜・水曜定休、GW・夏季・年末年始の長期休業
●所在地
〒160-0023
東京都新宿区西新宿 1-24-1 エステック情報ビル B1F